世間の反応はいかに。アマチュアボクシングを統括する日本ボクシング連盟は8日に都内で臨時の総会と理事会を行い、助成金の不正流用などで辞任した山根明前会長(78)の後任に宮崎県連盟会長の内田貞信氏(45)を選任した。

 新理事の選出も行い、いわゆる「山根派」は一掃された。山根氏辞任の“決定打”となったのは暴力団との交際を自ら明かしたことだったが、内田氏は過去に恐喝などで逮捕歴があり、執行猶予付きの有罪判決を受けたことがある。総会では内田氏自らこの事実について説明したとのことで「すでに執行猶予の期間を満了していることもあり、問題視する声はなかった」(戸田裕典顧問)、「強力なリーダーシップがあり、内田氏がやるべきという総意」(菊池浩吉副会長)で選出されたという。

 内田新会長は今後の組織運営について「選手ファーストで透明性のある団体にして、公益法人化を目指したい」と語った。山根体制では断絶状態だったプロとの関係も改善する方針で、内田氏は日本プロボクシング協会の渡辺均会長(68)とすでに非公式に接触。今後は正式な協議に入り、五輪予選にプロボクサーの参加を認めたり、指導者の交流が可能になる方向に進む見込みだ。連盟の事務局についても、これまでは山根前会長の地元・大阪に置かれていたのを、早急に東京に移す作業に入る。

 こうして“山根色”を一掃するが、新たな船出を仕切る組織の長に逮捕歴があることがどう見られるのか。ただでさえ、アマボクシング界には山根氏独裁の“負のイメージ”が鮮烈に残っている。罪の償いをまっとうしたとはいえ、世間からより厳しい目で見られることを選んだアマボクシング界の今後が注目される。