スポーツクライミングW杯女子ボルダリングで初の年間総合優勝を飾った野中生萌(みほう=21、TEAM au)が、9月の世界選手権(インスブルック)制覇に照準を合わせた。2020年東京五輪でも期待される美人クライマーだが、世界一奪取へ乗り越えるべき壁も多いという。どういうことか?

 20日、羽田空港に帰国した野中は「やっと勝てた」と笑顔。「今年は勝ちにこだわった。強さを証明するには成績を出すことだと思っていたので、まさに今回それができた」と喜んだ。「体力とか登りの技術だけでなくメンタルにも左右される。気持ちの部分で強くなった」といい、最終第7戦は最終課題で左肩を痛めながらも2位で締め「世界選手権もこの勢いに乗って金メダルを目指したい」と意気込んだ。

 とはいえ、W杯の成績は必ずしも世界選手権に直結しない。東京五輪と同じくリード、スピードを合わせた3種目の複合で争われるからだ。「陸上に例えるならボルダリングが短距離、リードは長距離、スピードは跳躍みたいなもの」(安井博志日本代表ヘッドコーチ)ほどの違いがある。

 加えて世界のライバルも強力だ。W杯第7戦で野中を下して優勝したヤンヤ・ガルンブレト(スロベニア)はまだ19歳。しかもボルダリングに加えリードも得意だ。安井HCはその強さに「さて、どうしようかと思ってしまった」と頭を抱える。野中も「すごい雑に登っているように見えるんですけど、それでも登っていく。メンタルと実力がすごい」と警戒心を強めている。

 6月に初めて開催された複合のジャパンカップではミスもあり、4位に終わった。リードとスピードはW杯で表彰台の経験もない。安井HCは複合での野中の世界での立ち位置について「トップ5ですね」と表現。総合力をいかに上げるかが、今後のポイントになりそうだ。