アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で世間を騒がせた日本大学に、またまた不祥事発覚だ。応援リーダー部(チアリーディング部)の女子部員が女性監督からパワーハラスメント行為を受けていたという。

 9日に被害を受けた部員が代理人を通じて公表した声明によれば2月上旬、部員はケガのため受けた手術後にリハビリを続けたいと希望していた。監督は、部員が強豪である出身高のウエアを着用していたのを見とがめ「過去の栄光にすがりついている」と叱責。「成績を残せないどころか、ケガで試合すら出られない」とも非難した。

 また、練習前に全員の前で部員を名指しし、大雪の日に大学事務員に頼んで練習を中止にしようと画策したと、とがめた。部員には身に覚えのないことだったが、監督はケガの具合も疑い「ずる賢いばかは嫌い」と暴言を吐き、大会に出ることを強要したという。

 日大の保健体育審議会は9日付で同部監督を解任した。「学生の指導に支障を来すことが懸念されると判断した」ことが理由で「部員・学生の動揺も懸念されているため、臨床心理士等によりケアするサポート体制をすでに整えております」としている。猛批判を受けたアメフット騒動を受けての素早い対応と言いたいところだが…実はそうではない。

 前出の声明によれば、精神的に追い詰められた部員は審議会などに助けを求めたものの「日大としてできることはもうない」と対応を打ち切られたという。日大はアメフット問題を受けて5月に「学生の皆さんを必ず守ります」との文書を出したばかり。文書を見た部員が再度訴えても「今回の文書はアメフットの件なので(女性部員のこととは)関係ない」と言われ、大学の対応は変わらなかったという。しかも当時の審議会トップはアメフット部前監督の内田正人氏(63)だっただけに、何をかいわんやだ。

 チア部監督の解任もアメフット問題同様に“トカゲのしっぽ切り”なのか。日大は田中英寿理事長(71)が説明責任を果たさないままでその支配が続いているが、体質も全く変わっていないようだ。