助成金不正使用問題の渦中にある日本ボクシング連盟がこれまで広報を置いていなかったことが1日、分かった。金銭不正流用などの告発を受け、報道陣からの問い合わせが殺到し「今度、広報をつくることになりました。東京と大阪になると思います。みなさんも(広報がないと)困るでしょう」と同連盟は説明した。

 日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題では広報が報道陣に逆ギレするなど、対応のまずさが問題となった。しかし、ボクシングはそれ以前の問題だった。複数のメダリストを輩出してきた五輪種目。国内外で競技の衰退や危機が叫ばれる中、少しでも魅力を伝えるのが連盟の役割のはずだが…。

 裏を返せば、大事な局面ではトップや幹部の意向によって情報発信がコントロールされる状況にあったと言える。実際、現在、広報的な役割を果たしているのは吉森照夫副会長兼専務理事。元アマチュアボクサー、また東大法学部卒業の弁護士として長年連盟の業務に携わり、先月30日に日本オリンピック委員会(JOC)に提出した謝罪文やブログの執筆を担当している。山根会長の右腕のような存在だけに言い分もどこまで信用できるか怪しいものだ。

 連盟には一般からの抗議の電話も相次ぎ、すべてに対応できない状態となっている。同連盟スタッフは「苦情? あります。聞いていると嫌になりますね。『早く解決してくださいね!』って言ってくれる人が多い。それぞれいろんな思いがあると思うので」と困惑の表情。この点でも広報の立ち上げを急ぐという。