雲隠れアマボクシングのドン・山根会長 高校総体で病院から遠隔操作指令

2018年08月02日 16時30分

山根会長が座る予定だった席はぽつんと空いたままだった

 日本ボクシング連盟が助成金流用や試合判定について不正を行っていると日本オリンピック委員会などに告発状が提出された問題で、日本連盟のドン、山根明会長(78)は1日に行われた高校総体(インターハイ)ボクシング競技の開会式(岐阜市・OKBぎふ清流アリーナ)を「入院」を理由に欠席した。渦中の人は問題発覚後から一切表に出ないままだが、会場ではドンによる“恐怖政治”を証言する声や辞任要求が次々に上がる異様な状況となった。一方で、日本連盟は再びホームページ上で反論。事態は混沌とするばかりだ。

 参加選手の視線の先にある主賓席。「山根明会長」と書かれた席は最後まで空席のままだった。その理由について、日本ボクシング連盟の吉森照夫副会長は「3日ほど前から入院した」と説明した。

 会場内には菓子などが用意された山根会長専用部屋も準備されたが、この部屋が使われることはなかった。そうしたなか、ドンは病院から“遠隔操作”で驚くべき指示を出していた。

 ある地方連盟の幹部は「壇上の主賓席には山根会長と、逆サイドに高体連のトップの方が座るはずだったんですが『俺が行ってないんだから、あいつも座らせるな』と山根会長が日連(日本連盟)を通じて言ってきたんです」と明かす。高校総体は高体連(全国高等学校体育連盟)と日本ボクシング連盟などが主催者だ。それぞれのトップが中央を挟んで最上位の席に座るのはごく普通のことだが、高体連のトップは会場にいたにもかかわらず山根会長の指示により控室で待機を強いられたのだという。

 さらに同幹部によれば「高校総体は日連と高体連の共催ですが、そのためには日連が共催をお願いしに行く必要がある。でも、日連は頭を下げたくないから4年もほったらかし。高体連が主催じゃないと生徒は(学校の授業を)『公欠』の扱いにしてもらえない。それじゃかわいそうという高体連の配慮で共催にしてもらっているんです」。

“選手ファースト”とはあまりにかけ離れた対応。にわかには信じがたいが、開会式前の役員会議では「日連からは一連の騒動についてひと言の説明もなく、質問する出席者もいなかった。おかしいと思うかもしれませんが、皆、報復で自分の生徒が不利益を被ることが怖いから声を上げられないんです」(同幹部)。依然として“恐怖政治”の影響力は色濃くあるようだ。

 また、この日は日本連盟が公式ブログを更新し、告発状に再び反論。山根会長の待遇について「豪華な部屋を確保するようにとか、贅沢な食品を用意するよう通知」したことなどないと否定した。だが、前出の幹部は地元での大会開催時に「いいお店はないか、と言われたのでお連れして『ここは払えない』と言うと急に冷たくされ、帰りは迎えのマイクロバスに乗せてもらえなかった」。

 一方で山根会長の意向によって特定の県や選手に判定が偏っているとされることを踏まえ、岐阜県連盟の四橋英児会長は開会式で「今年の大会はすべての試合をビデオで記録します。判定についての疑義があったらすぐに言ってください」と表明した。サッカーのロシアW杯で導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)や野球やテニスの「チャレンジ」のように、その場ですぐに検証するわけではないが、採点に異議を唱えられた場合にはビデオを検証して判断するという。

 同会長はあいさつで「真偽のほどは分からないが、事実なら山根会長をはじめ、周囲の皆さまには辞めていただきたい」と騒動に言及するひと幕もあった。世界的に見てもアマチュアボクシングには、国際ボクシング協会(AIBA)の問題により2020年東京五輪で実施されるか危惧されるほどの逆風が吹く。そうしたなかで、地方連盟会長が公の場で日本連盟会長の辞任を求める異例の展開。大人の事情が優先される中で戦うことを余儀なくされる高校生のパフォーマンスに、影響がないことを願うばかりだ。