日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、同部の新体制が注目を集めている。一部では「理事長の懐刀」と呼ばれる人物が後任監督に就任するのではとの臆測も飛んでいるが、もちろん部の体質を根本的にただすには「内田色一掃」はやらなければ意味はない。理事長サイドの人物では同じことの繰り返しになるだけだろう。そんな中、本紙はアメフット部首脳陣による暴言も新たにキャッチ。また、新生アメフット部を真摯に考える現場サイドが推す、次期監督の有力候補も明らかになった。

 日大アメフット部には13人のコーチがいた。まずは5月23日に内田正人前監督と一緒に会見に臨んだ井上奨コーチが辞任を表明。その後、関東学生アメフット連盟から資格剥奪処分を受けた森琢ヘッドコーチ、さらに長谷川昌泳コーチと田中芳行コーチの辞任が30日に発表された。

 そんな中、森前ヘッドらコーチ陣に関する「新事実」が日大関係者により明らかとなった。

 内田前監督の辞任後、当初は残された「内田派」のコーチらでチームを何事もなかったように再スタートさせるつもりだったという。

 当然これには部内外から批判が殺到。すると森前ヘッドは、反則行為を行った宮川泰介選手の復帰を待つ部員らに対し「戻らない選手をいつまでもかばってどうする」と言い放ったという。

「(宮川)泰介をそんなふうに扱うなんて考えられない!」と部員らは激怒。これをきっかけに選手間では「部員主導でチームの改革に努めよう」との機運が高まり、父母会と連係しての声明文の発表へとつながった。結果“内田派残党”によるチーム再編計画は水泡に帰し、退陣を余儀なくされた森前ヘッドらは「お前らいいかげんにしろよ」と、部員らに恨み節を浴びせたという。

 とはいえ、まだ予断は許されない。残っているコーチには内田前監督の息のかかっている人物がおり、一部では「理事長の懐刀」とされる人物が後任監督に就任するのでは、ともささやかれている。

 では、次期監督には誰が適任なのか。

 現場サイドに近い日大関係者の間で今、急浮上しているのが「新たにOB会とは別にOB有志によって結成された『有志会』の中から選び出される可能性もありますが、現在付属校である日大高アメフット部の監督を務める高橋宏明前々監督が適任ではないか」との声だ。

 高橋氏は日大アメフット部出身で、2016年から同部の指揮を執った監督経験者。その人柄は「高橋さんは内田前監督とは正反対で、選手に非常に優しく、決して強く当たることはない方」(前出の関係者)だという。

 続けて「その性格につけ込み、森前ヘッドは『あの人は強くものを言うこともできないんだ』と、部員らの前で高橋氏をバカにしたような発言をしていたんです。森前ヘッドらの圧力の前に部員らもそれに同調しなくてはならない雰囲気などもあったそう。要は森前ヘッドがクズなだけなんですけどね…」とも明かした。

 高橋氏は監督時こそ結果を残せなかったが、昨年優勝した甲子園ボウルで当時1年生ながらタッチダウンに成功した林裕嗣選手や川上理宇選手を獲得するなど、人材獲得に定評があるという。

 そんな高橋氏の経歴について前出関係者は「成績不振もあるでしょうが、内田前監督に意見を言ったことでわずか1年で監督を解任され、現職に左遷されたんです。当時、日大文理学部の局長を務めていた人間が付属高校への異動ですから、まさに見せしめ人事ですよ」と“内田人事”の被害者であることを明らかにした。

 果たして新体制はどうなるのか。関東学連は出場資格停止とした日大アメフット部への処分の中で「チームとしての原因究明と再発防止策の策定、実施」「抜本的なチーム改革と組織改革の断行」が資格停止解除に必要だとしている。今回の件では現場の声が大学側の思惑より優先されるのは言うまでもないが…。