日大アメフット第三者委の限界 大学側の委員長選定に「出来レース」の声

2018年05月31日 16時30分

アメフット界から追放された内田前監督(右)だが、大学内での影響力は残っている。左は井上前コーチ

 日本大学アメリカンフットボール部の悪質な反則行為問題はいつ終わりを迎えるのか。関東学生連盟から2018年シーズン終了までの「出場資格停止」処分を受けた日大アメフット部では、「資格剥奪」処分の森琢ヘッドコーチ(44)を含むコーチ3人が辞任の意向を示すなど再生へ動き出している。一方で日大が調査を依頼する第三者委員会が“クロ判定”を出さなければ、大学で絶大な権力を持つ内田正人前監督(62)の影響力は変わらない。そもそも第三者委員会が公正中立を保てるのか、疑問の声が上がっている。

 内田前監督、井上奨前コーチ(30)が反則を指示したと認定し、2人を永久追放に相当する「除名」処分とした関東学生連盟の決定から一夜明けた30日も、悪質タックル問題が話題をさらった。

 日大アメフット部では森ヘッドコーチら3人が辞任の意向を示した。また、同部OBはOB会とは別組織の「有志会」をつくり、選手を支援するための活動を始めている。従来のOB会は内田前監督に近く、今回の問題を受けての対応も一切なかった。このため、アメフット部の先行きを憂慮したOBの有志が結成。数百人規模になる見込みで、具体的な支援策は今後検討していくという。有志会の一人は「選手にとってよりいい形になるよう、支援に注力していく」と話している。

 アメフット部は再生の動きを見せているものの、本紙が報じてきた通り、常務理事で体育会を含めた人事とカネを握る内田前監督が大学内で権力を持つ限り完全に生まれ変わったとは言えない。カギを握るのは日大が調査依頼を決めた第三者委員会。現在、常務理事職を停止し謹慎中の内田前監督は同委員会の調査結果を受け「大学のご判断に任せようと思っている」と進退を委ねた格好だ。調査結果が厳しいものになれば、大学のポストともオサラバになるはずだが、一向に同委員会設立の知らせは届かない。

 悪質タックルで負傷した関学大QBの父で大阪市議の奥野康俊氏(52)もこの日、SNSで「昨日の関東学生連盟の会見で、一定の区切りがついたと思われます」とした上で「日大が今から第三者委員会を立ち上げるとのことですが、遅すぎるように感じます。警視庁、捜査機関の捜査も入る中、どのように結論を出されるのか懸念いたします」と苦言を呈した。

 そうした中で第三者委員会の設置に「出来レースですよ」とかみつくのは、日大のドン・田中英寿理事長(71)や内田前監督の“悪政”に耐えてきた日大関係者だ。

「誰が第三者委員を務めるのか。田中理事長の周りには法曹界、元警察官僚やらがたくさんいる。そもそも危機管理学部は田中理事長が自分の身を守るために各界トップの実力者を集め設立したと言われてるんですから。直接関係なくても、息がかかった人間になってもおかしくないんですよ。本当に公正中立を保てるのか」

 確かに中立の立場で調査をしなければ、内田前監督の“罪”がもみ消される可能性もある。これについて本紙の取材に応じた日大広報部は、第三者委員会のメンバーは近日中に発表の見込みで「大学から中立な第三者の弁護士の方に委員長をお願いし、その他のメンバー構成、人数もお任せする形。独自に調査していただきます。調査期間? 時間はかかるかもしれませんね」とした。

 大学が委員長を選定する時点で田中理事長らと無関係な公正中立の人物を擁立できるのか、はなはだ疑問。広報担当者は「(中立でない人物は)それではダメでしょう~。無関係の人物でなくては」と強く言い切ったが…。

 関東学生連盟から“クロ判定”を受け、世間からもアウトと認定された内田前監督が一転無罪となれば、大物が揃うはずの第三者委員会メンバーの今後の信頼にかかわるだろう。ちなみに「高級ホテルに滞在」などと情報が錯綜している内田前監督の現状は「入院中です」(日大広報部)とのこと。本当の意味での再生に向けて、自浄作用を働かせることはできるのだろうか。