【悪質タックル】日大のドン・田中理事長「安泰」の裏

2018年05月29日 16時30分

先週記者会見した大塚学長

 日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で関東学生連盟は29日に臨時理事会を開き、日大の内田正人前監督(62)らの処分を決める。ここで厳罰が科される見込みだが、大学全体の体質が改善されなければ真相解明とはいかない。そこでクローズアップされるのが田中英寿理事長(71)の存在。いまだ岩のごとく動かない同理事長は強大な権力を武器に大学を牛耳っている。対峙すれば「勝ち目はない」との声も上がっており、“改革派”がやり合うのは容易ではないという。

 臨時理事会には規律委員会の調査が諮られ、日大アメフット部に対しては「無期限活動停止」、内田前監督らには最も重い「除名」や「資格剥奪」などの処分が下される見込みだ。関係者によると、規律委は「反則は監督とコーチの指示」と認定する方針を固めており、その説明に注目が集まる。

 一方で、日大はあくまで第三者委員会を立ち上げて、その判断を仰ぐ姿勢を見せている。また、内田前監督や井上奨前コーチ(30)、大塚吉兵衛学長(73)が会見したものの、加害選手との説明は食い違い、さらに核心も語っていない。規律委の判断は一つの前進と受け止めるしかない。

 特に問題の根本的な究明や、常務理事と人事部長を兼ねる内田前監督の去就については“日大のドン”こと田中理事長がカギを握っている。教職員組合や父母会は相次いで理事長に会見を開くよう要請しているが、猛烈な逆風の中でもいまだ正式に口を開いていない。それどころか、伝わってくるのは“鉄壁”のムードだ。大塚学長が「責任者は私。理事長が会見する予定はありません」と必死に“学長マター”を主張したのも、田中理事長への配慮がうかがえる。それほどまでにアンタッチャブルな存在というわけだ。

 アマチュア相撲出身の田中理事長を知る関係者も、今回の問題に関連して責任を問うのは至難の業との認識を示す。「辞めないと思う。(表に)出てこない。そういうところは目と鼻が利く。大したもの」と話す。

 警戒心の強さは理事長としての地位を固める中で身につけられたものだという。「理事長になる前に日大内部で(権力)闘争が結構あった。そこで外されていった人たちが、JOC(日本オリンピック委員会)の役員改選の時に田中理事長の悪口を出して攻撃した。過去のスキャンダル写真を持ち出してきたりね」(同)

 田中理事長は長年JOCの理事を務め、副会長も務めた。税金を扱うJOCの要職として不祥事はご法度。国会でも取り上げられたが、田中理事長はうまく対処して乗り越えてきた。

「周りのガードが強い。要するに弁護団。元東京地検の検事だったりがついている。田中理事長を辞めさせて…ということになると、今度は理事長側から訴えられる。絶対、負けます。弁護士のランクが違う。今回もそういうのでガードしているんでしょう」(事情通)

 特に教職員組合は理事会の刷新も求めている。いわば田中理事長に交代を迫ったのも同然だが、先行きは不透明そのものだ。生き馬の目を抜く権力闘争を勝ち上がってきた田中理事長の政治力と人脈は規格外。悪質タックル問題の真相は闇に葬られる可能性すらある。