汚名返上のはずが…。アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で大揺れの日大がとんだハプニングに見舞われた。25日、大塚吉兵衛学長(73)が都内で会見。満を持しての“トップ登場”に注目が集まったが、話題をさらったのはナゾの白髪交じりの女性。会見の冒頭で奇声を上げて乱入し、関係者に取り押さえられてつまみ出されたのだ。いったい、日大の危機管理能力はどうなっているのか。不祥事にあえぐ名門が「恥の連鎖」から抜け出せない。

 大塚学長が着席し、司会が注意事項の説明を始めた時だった。「ちょっと待った!」。張りのある声とともに一人の女性が突然、前方で立ち上がった。「そんなまどろっこしいこと、目の前にボスがいるんだから。みんな聞きなさい。おまえがしっかりしないから、いいか! おまえらがしっかりしないからだよ、いいか!」と、学長に向かって絶叫。即座に取り押さえられ退場となったが、強烈過ぎるインパクトを残した。

「卒業生か」「いや愛人か!?」。会見の緊張はどこへやら。報道陣からは失笑が漏れた。この女性は自称72歳で、会場には財布も持たずタクシーで駆けつけたという。とはいえ、刃物でも持っていたら一大事になっていたところだ。悪質タックル問題発覚後、内田正人前監督(62)が関西学院大(かんせいがくいんだい)を「かんさいがくいんだい」と呼び間違えたり、謝罪会見で司会が記者と口論になるなど、疑問符が付いている日大の危機管理体制が改めて問われる事態となった。

 しかも、舞台裏を探ると、起こるべくして起こった出来事だから笑えない。会見前、日大側は女性が報道関係者ではないと確認していた。会場から出ていくように説得したものの、女性は拒否。そのため背後に見張り役をつけた。立ち上がった際も、すぐに止めに入ったが「助けて~!」と叫んだ女性に強引に振り払われてしまった。

 また、学長の会見だというのにセキュリティーも甘かった。名刺チェックは中途半端で会見場に警備員の姿もなかった。大勢の報道陣が一斉に入場する隙に一般人が紛れ込むことは、十分可能な状態だったのだ。関係者は「お恥ずかしい限り。正直こういう会見は慣れていない。物々しくしても申し訳ないと思い、あえて中に警備員を入れないようにした。通常(報道陣は)出入り口で止まるけど、こういうふうにいっぺんに入ることはない」と釈明した。

 会見後、報道陣の質問は悪質タックル問題よりも女性についてに集中。大塚学長は大学の危機管理能力について「残念ながらちょっとできていない状況というのが私の実感」と力なく話した。対応が後手に回り、イメージアップ策も裏目。日大の迷走が止まらない。