【悪質タックル】日大 迫られる“アメフット閥一掃”

2018年05月24日 13時00分

会見の冒頭、宮川選手は深々と頭を下げて謝罪した

 アメリカンフットボールの定期戦(6日)で、悪質な反則行為で関学大のQB選手を負傷させた日大DL宮川泰介選手(20)が22日、都内で会見を開いた。顔を出し、氏名を公表して臨み、反則行為を謝罪。さらに悪質タックルには、日大の内田正人前監督(62)やコーチの指示があったことを明らかにした。あまりに卑劣な指示に関学大関係者らは怒り心頭。しかも、日大側は同選手の監督指示発言を否定したのだから驚きだ。日大のイメージは悪化する一方で、大学存続の危機回避へ“アメフット閥一掃”が必要だという。

 宮川選手は「たとえ監督、コーチに指示されたとしても自分自身が『やらない』という判断をできずに指示に従ってしまったことが原因」と自分の責任を認めて謝罪した。関学大の鳥内秀晃監督(59)は「勇気を出して真実を語ってくれたことには敬意を表したい」と同選手を評しつつ「がくぜんとしている。このようなことがスポーツの場で起きたこと自体が信じられない。今後は警察の捜査にも委ねられることになるだろう」と激怒。負傷した関学大選手の父親、奥野康俊さんも「激しい憤りを覚える。監督やコーチが最初から自分の息子をけがさせようとしていた。会見を見て刑事告訴も検討せざるを得ない状況だ」とコメントした。

“決死”の覚悟を見せた20歳の若者に比べ、内田前監督らは潔さのかけらもない。この日夜、日大広報部は「厳しい状況にありながら、あえて会見を行われた気持ちを察するに、心痛む思いです。本学といたしまして、大変申し訳なく思います」としつつも「コーチから『1プレー目で(相手の)QBをつぶせ』という言葉があったということは事実です。ただ、これは本学フットボール部においてゲーム前によく使う言葉で『最初のプレーから思い切って当たれ』という意味です」と説明。「誤解を招いたとすれば、言葉足らずであったと心苦しく思います」(コメント原文ママ)とこれまでの主張通り、反則タックルはあくまで宮川選手の“誤解”から生じたものとし、監督の指令を否定した。

 わざと火に油を注いでいるのだろうか…。実際、日大には一般からの抗議に加え、大学に子供を通わせる親からの「行かせるんじゃなかった」とのクレームまで殺到しているという。今後、苦情が倍増するのは明らかだ。

「このままなら入学希望者数にも影響して、大学そのものへの打撃は計り知れない。内田氏の責任は非常に重い。田中(英寿)理事長が内田一派排除を決断できるかどうか…」(日大関係者)

 日大のドン・田中理事長に目をかけられ、運動部を束ねる保健体育審議会局長で人事担当の常務理事という要職にある内田氏は「次期理事長候補最右翼」とも言われている(本紙既報)。また、内田氏のほかにもアメフット部出身理事がおり、こちらも絶大な権力を握っているという。

「事業部を担当しているが、これまで個々の学部、体育会なら個々の部に任されていた備品の購入もすべて事業部を通して取りまとめるようになった。莫大なカネが動く部署です」(別の日大関係者)。人事にカネ、という大学の“肝”をアメフット関係者が握っている状態だけに、かねて大学関係者からは疑問の声が噴出していた。

 内田氏は19日付で監督を辞任したが、大学内での権力の大きさからアメフット部の指揮官を辞めてもまるで意味がない。同様に、大学内で内田氏が何らかの処分を受けたとしても“院政”が可能だ。アメフット部存続のためには、宮川選手に反則を指示したコーチら内田色の強いコーチ陣の大刷新が求められるが、大学内でも“内田色”を一掃しない限り、実情は変わらないというのだ。

 宮川選手の会見を受けた日大広報部のコメントも、大学内部の構造を考えればさもありなん、だ。日大は24日までに関学大へ再回答して経緯を明らかにする予定で、教育機関である大学のプライドを見せてほしいところだが…。