日大と関西学院大のアメリカンフットボールの定期戦で日大の選手が悪質なタックルを行った問題で、被害選手の父親で大阪市議の奥野康俊氏(52)が21日、大阪府警池田署に被害届を提出し、大阪市内で会見を開いた。

 奥野氏は冒頭、涙をこらえるような表情で「今日は息子の件で集まっていただきありがとうございます」と頭を下げると「このような会見は開きたくなかった。それまでに解決し、両大学が自由にのびのびとアメフットができるのを願っていた」と苦しい胸の内を吐露した。

 日大の内田正人監督は19日に兵庫・西宮市内で被害選手と保護者に謝罪し「一連の責任は全て私の責任。監督を辞任する」と表明したが、奥野氏は「真実を語っておられるのか。チームがしたことの責任を監督が取る。ただそれだけとしか聞こえなかった」と真相究明には程遠い内容に、被害届の提出を決断したことを明かした。被害届は被害選手と奥野氏、夫人の3人で提出。加害選手のみを対象としているという。

 22日に会見を開く予定の加害選手に対しては「彼が一人であれをしたのなら許せないが、何かの力が働いているという話があるので、真相究明していただきたい」とした上で「自分の息子と同じくらい将来がある」と気遣う一面も見せた。

 息子については、タックルを受けた後「右足の腫れと左足のしびれがあった」といい、家族間での話し合いの中では「こんな悲しい思いをするなら、アメフットをするんじゃなかった」と涙を流しながら訴えたという。幸いにも、練習復帰を果たすまでに回復したが「将来、大丈夫かは分からない」と話した。

 奥野氏は会見中、何度も「真相解明を」と訴えた。加害選手の会見と24日までに届く予定の回答書で、日大側は誠意を見せることができるのだろうか?