大阪・道頓堀「ラーメン戦争」

2012年10月16日 11時00分

「小チャーシュー煮玉子」(850円)
「小チャーシュー煮玉子」(850円)

(1)老舗「神座」の意地

「ラーメン不毛の地」と呼ばれたのも今や昔。大阪は日本有数のラーメン激戦区と化している。その中でも最もシ烈な戦いが繰り広げられているのが道頓堀だ。老舗中の老舗である「神座」の総本山とも言うべき千日前店のほとんど真向かいに、「なにわ最強醤油ラーメン 金久右衛門(きんぐえもん)」が出店。連日“白兵戦”を展開している。挑戦状を叩きつけた金久右衛門、受けてたつ神座、双方の意地と情熱を聞いた。

【神座運営会社取締役・布施真之介氏】神座は1976年に大阪1号店として道頓堀店をオープン。90年に千日前店を開店し「大阪のラーメン店=神座」のイメージを定着させた。そのため、千日前店に対する思い入れは強い。

 神座の運営会社である株式会社理想実業の布施真之介取締役は「あそこは本店なので、万が一、全店が潰れたとしても、あの場所だけは手放さない。あの場所さえあれば、やり直すことができますから」と力を込める。

 そんな“聖地”で仕掛けられた戦争。しかし、王者は堂々たる姿勢を見せている。

 金久右衛門という最強の挑戦者について、布施氏は「店長から報告は上がってます。道頓堀というところは西日本で一番のラーメンの激戦区になっているなと思います。もともと、あの場所は我々と金龍さんがあって盛り上げてきた。お互い売り上げを上げてきた。いろんなラーメン店が出店すれば、お客さんの集積効果もあるし、我々としてはウエルカムです」と余裕の発言。

 根拠はある。おいしいラーメンだけでなく、徹底した企業戦略があるからだ。スープソムリエという神座独自の資格制度を導入。平均取得期間は1年で、資格を持たない者はスープに一切、触れられないという厳しい管理体制を敷いている。さらに「物流ルートも、いろんな業者をまたがせて分からないようにして、スープで店に納品しているので、レシピは完全なブラックボックスです」(布施氏)。自信満々の発言もうなずけるというものだ。

 父で創業者の正人氏が一代で築き上げた伝統の味を守りつつ、ギョーザ専門店や海外進出を目指す布施氏。その野望の原点でもある道頓堀で、仕掛けられた戦いに負けるわけにはいかない。

「どんな店が来ても気にしない。あの辺一帯の土地を買い占めて、神座横丁にしたいんですよね」と笑顔で語った布施氏のセリフに嘘はない。

【自慢の一品「小チャーシュー煮玉子」(850円)】代名詞ともいえる「小チャーシュー煮玉子」は、たっぷりの野菜が入ったラーメンで、煮玉子とチャーシューもぴったりマッチする。

「初めて来た人に食べてほしい、一番オーソドックスなトッピングです。その後、ネギだったり、キムチだったりを試していただけたら」(布施氏)

 神座には豊富なトッピングがあり、自分の好きな食べ方を見つけるのも楽しい。そして、あっさりしているようで濃厚な味は、やみつきになること間違いなし。

「1回食べて、違和感があっていいんです。それでも、もう1回食べたくなる。3回食べたら、もっと食べたくなる。そんな味です」と布施氏は伝統の味を評した。