【プロジェクトC】消えた大量マスクここにあった!暗躍・転売ブローカーLINEで営業

2020年04月11日 16時01分

保税倉庫の内部写真。山積みされた段ボールの中身はマスクだ

 新型コロナウイルスの猛威は日本に暗い影を落としている。そこで本紙は「コロナ禍をぶっ飛ばせ!」を合言葉に「プロジェクトC」をスタートさせます。第1回のテーマは品薄が続くマスクの闇。安倍晋三首相(65)は「4月は7億枚を超える供給を行う」と豪語するも、ドラッグストアなどではいまだにマスクを求めて長蛇の列…。一体マスクはどこへ消えたのか? 追跡すると、中国から届く大量の輸入マスクを横流しするブローカーの存在が浮上した。また、比較的マスクを入手しやすいといわれる東京・新大久保に向かったところ、信じられない光景が広がっていた。

「マスク足りてますか?」

 そう聞かれて「YES」と答える人は少ないだろう。でなければ、安倍首相も「全世帯に布マスク2枚」という“コント”には打って出なかったはずだ。

 首相は先月28日の記者会見でマスクについて「3月は6億枚を超える規模で供給をし、4月にはさらなる生産の増強、および輸入の増加によって7億枚を超える供給ができる」と述べた。

 しかし、いまだにドラッグストアなどにはマスクを求めて長蛇の列。店舗によっては100人以上が並ぶことも珍しくなく、クラスター(集団感染)が起きればひとたまりもない。

 なぜマスクは我々の手元に届かないのか? 取材を進めたところ、本紙記者のもとに1通のLINEが届いた。そこには次のように書かれていた。

「10万枚から発注できる」「1枚60円税別 入金後5~7日納品です」

 それは中国産の医療用サージカルマスクの注文案内だった。驚いたのは購入単位が「10万枚から」という点。LINEの送り主は個人でメーカーでもないのに、これほど大量のマスクを確保できるものなのか。

「品薄、品薄と言われているけど、マスクは大量に日本に入ってきているよ。むしろ最近はダブついているくらい。大半が中国製かな。市場に出回らないのは、日本に到着してすぐにブローカーの手に渡るからさ」

 そう明かしてくれたのは某関係者。改めてLINEを見返すと「発送は保税倉庫渡しとなります」とある。ここがポイントで「コンテナで輸入されたマスクは一旦、保税倉庫に置かれる。ブローカーはそこに出入りできる。彼らはオーダーのあった分を保税倉庫から購入者に発送する」という。

 本紙が極秘入手した倉庫の内部写真を見ても、マスクの入った段ボールであふれ返っている。

「マスク1枚60円は良心価格に見えるが、原価は10円以下。ブローカーはそれを10万、100万枚単位で売りつける。購入者も購入者で、そこから金額を上乗せして転売する。一時期、ネットオークションで転売ヤーが問題になったが、あんなのは素人。卸元になって大量売却することで莫大な利益を得ることができる。プロはこうやって確実に稼ぐ」(事情通)

 こんなことを思いつくのだから、ブローカーの素性はまともではない。

 前出の関係者によると「いわゆる半グレと呼ばれた連中や、反社とつながりのある人物が中国側の企業と組んでビジネスしていることが多い。密輸ではないので、法で取り締まるのは難しい。あとは倫理観の問題だが、そんなものが通用する相手ではない」という。

 世間一般のイメージでは、国が責任をもってマスクを輸入。それをメーカーにきちんと割り振るものだと思っていたが、厚労省や経産省に聞くと、決してそういうわけではなかった(※記事参照)。

 本紙はブローカーからマスクを大量購入した40代男性に話を聞くことができた。

「注文LINEが来たので頼んだだけ。売れなければ大量の在庫を抱えることになったけど、運良くすぐに売れた。100万円くらい儲かりましたよ。ブローカーには『余計なことは言うな』とクギを刺されましたが…」

 マスクの流通経路は完全に崩壊している。朝から店頭に並ぶ人がいる一方で、スマホ一つで大量のマスクをゲットする者もいる。国はこの現実に気付いているのか――。

※厚労省の担当者はマスク不足の原因について「需要の高まりで、普段買わない人も買っている。買いだめしている人も多いのでは?」と分析した。

 同省は主に医療従事者向けの配布を担っており「3月末に1500万枚、このほど1500万枚を追加した。それでも十分というわけではない」と話す。ブローカーの存在は初耳で「私どもの方に入ってくる情報ではない」とした。

 ならばと、マスクの流通に関わる経産省と厚労省の合同本部にも聞いてみたが、こちらも「分かりません。国内商社の方とは『今週は何枚仕入れますか』というような話はしていますが…」。

 続けて「我々は国が買い上げたマスクを管理し、医療現場や介護施設に行き届くようにしている。それ以外のことまでは、正直手が回らない部分もあります」と述べた。

【新大久保で売られていた】マスクがある、そこらじゅうにある。「新大久保へ行けばマスクが手に入る」という情報は本当だった。東京随一の多国籍タウンとして知られる新大久保。取材班が意気込んで“捜索”を開始すると、お目当ては拍子抜けするほど簡単に見つかった。

 ビニール袋入りマスクが店頭に山積みされ、「50枚3800円」で売られていたのは、イスラム教徒向けハラルフードを取り扱う輸入食品店。スタッフによれば「ウチにあるのはバングラデシュかチャイナから来たもの。自分たちで持ってきた」という。包装は雑だが、肝心のマスクは市販されている不織布のサージカルマスクとほぼ同じだ。

 東南アジア系雑貨店の店頭にもマスクはあった。こちらは箱入りで「30枚2500円」。レジ担当のスタッフに聞いたが、仕入れ先は「チャイナだ」という。商品を確かめて驚いた。本来、販売メーカーの名前があるべき場所に記されていたのは「寄付者」の文字。側面には「四海之内 皆兄弟也」という漢詩がプリントされていた。まさか、中国からの寄付品が新大久保に流れているということなのか…。

 中国・武漢で感染が拡大した当時、日本から多くの支援物資が送られた。その際、約1300年前に天武天皇の孫の長屋王が唐に贈ったけさに添えたとされる「山川異域 風月同天」という漢詩を段ボールに記したことが中国人の心を打ち、現地で話題となった。その後、日本にもウイルスが本格上陸すると、今度は中国側が返礼の物資に漢詩を添えるようになった。取材班が入手したマスクも中国の篤志家が送ったものである可能性が高そうだ。

 新大久保で近年増えている東南アジア系の店だけではない。韓流アイドルグッズを扱う店や韓国コスメ店などのコリアン系ショップにもマスクは置いてある。洗って使えるタイプから使い捨てタイプまで幅広い商品が見つかった。タピオカドリンク店のレジ横にマスクと並んで陳列されていたのは、消毒用のアルコールジェル。「韓国で直接仕入れてきた」という。

 スマホやケータイカバーを扱う露天ショップにもカラフルなウレタン製マスクがズラリ。店員は「今月は仕入れにちょっと苦労しました。でも、来月はもっと増やせそうです」。“アベノマスク”の大騒動も、この街にはどこ吹く風だ。

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