リストラ回避にも有効な「マニュアル」

2012年06月05日 18時00分

【マニュアル否定は大損(2)】

 また、マニュアルを作る過程で、中高年も自分に染みついた悪い癖に気付くことができるという。それはリストラ回避にもつながる。

「仕事に慣れている中高年ほど、今までこうだったからこう対応する…となってしまいがちですが、実はそれは効率性を無視した悪い癖であることも多い。マニュアルを作り、それを改訂し続けることは、仕事の見直しやスキルアップにもつながるんです」

 そう、マニュアルは作りっぱなしではただの粗大ゴミ。作ってはみたものの活用できていない企業がほとんどなのだ。

「少なくても年1回、できれば年2回は改訂を行わないと、本当に使えるマニュアルになりません。仕事のすべてをマニュアル化する必要はありませんが、基礎に該当する知識や行動をマニュアルにして標準化することは会社にとって大きな財産になりますよ」

 せっかく長い間働いてきたのだ。「後のことは知らん」「若いやつが勝手にやればいい」という気持ちも分かるが、自分の経験をしっかりとした形で残しておくことを考えてみてはどうだろう。皆から一目置かれるに違いない。若い人もマニュアルという言葉を恐れないでほしい。そして、先輩と力を合わせ、苦難の時代を乗り切ろうではないか!

<マニュアル化で質が向上>

 マニュアルがサービスの質を向上させることを証明しよう。

 工藤氏によると、管理職であろうと平社員であろうと日常業務の約80%は「何をやるか」という基本に基づいており、残りの15%が「うまくやる」という応用、そして残りの5%が「センス」だという。

 例えば、日本の飲食店では着席すると、おしぼりが提供されることが多い。

「最初は『センス』を持った人がおしぼりのサービスを始めましたが、同業他社がマネをすることで、おしぼりを出すことが業界の『基本』になりました。すると、次は温かいおしぼり、冷たいおしぼりの提供が始まり、今度は店員が1人ずつ手渡しするといった具合にサービスが向上。『応用』だったものがマニュアル化されることで『基本』になり、全体の質が上がったわけです」

 冒頭のハンバーガー店のやりとりでも、「お客様に店内でのご飲食かテークアウトなのかを確認する」というマニュアルの目的さえはっきり浸透していれば、「お持ち帰りでよろしいでしょうか?」と応用して尋ねることができたはずだ。

 業務の目的を叩き込めば、若手だって経験とともに応用できるようになる。マニュアルとは「依存」するものではなく、「信頼」すべきものなのだ。