“モリカケ問題”朝日新聞の執念と嘆き

2018年04月12日 07時30分

朝日新聞の社屋

 殺るか、殺られるか――。森友学園の決裁文書改ざん問題に続き、朝日新聞が10日付1面で、加計学園の獣医学部(愛媛県今治市)新設について、愛媛県職員が当時の首相秘書官と面会した際のやりとりを記した文書に、同秘書官が「本件は首相案件」と述べたとの記載があったことをスクープした。朝日と安倍晋三首相(63)の因縁は周知の通り。「捏造」「哀れ」とコケにしてきた安倍首相に対し、朝日は特別取材チームを結成し、水面下で“モリカケ問題”を執念で取材。その朝日内部も一枚岩ではなく、うんざりする若手記者が急増中だという。

「先週末、『森友から加計に(関心が)移る』とザワついていましたが、これでしたか」。こう語るのは永田町関係者だ。

 朝日新聞が10日に報じたのは、それまで「ない」とされてきた愛媛県職員と今治市職員、加計学園幹部が首相官邸を訪問した「2015年4月2日」の面会記録文書が存在することだった。

 官邸側で対応に当たったのは、内閣府の藤原豊前審議官と柳瀬唯夫首相秘書官(現経産省経済産業審議官)。昨年7月、同じ朝日新聞系列の「週刊朝日」で一部が報じられ、その際、柳瀬氏は「私の記憶する限りはお会いしていない」と否定していたが、記録にははっきりと名前が残っていた。

 この面会は今治市が国家戦略特区に獣医学部新設を申請する約2か月前のこと。その段階から首相秘書官や国家戦略特区を担当する内閣府の職員が、特定の学校法人幹部らと面会するのは極めて異例だ。

 しかも、面会記録のいの一番には、柳瀬氏の発言として「本件は首相案件」とあった。やはりすべては“加計ありき”のデキレースだったのか。

 柳瀬氏は「首相案件になっていると具体的な話をすることはあり得ない」とのコメントを発表したが、今後の展開について政界関係者はこう語る。

「愛媛県の中村時広知事も10日の会見で、面会記録は『(県の)職員が備忘録として作った』と認めているので、ごまかすことはできない。文書には面談に先駆け、安倍首相と同学園の加計孝太郎理事長が会食していたという記述もあり、獣医学部新設について『(17年1月20日まで)知らなかった』とする首相の答弁が虚偽だった可能性も浮上する。こじれれば再び政局になる」

 それにしても、また朝日新聞だ。昨年の“森友第1ラウンド”では、安倍政権を追い込むまでには至らず、逆に森友学園が新設を目指した学校名を「安倍晋三記念小学校」と記した部分で、安倍首相から「全く違ったが訂正していない」と国会で指弾された。朝日は一連の森友問題について検証記事を掲載したが、これについても首相は自民党議員のフェイスブックを通じて「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳。予想通りでした」とコキ下ろした。

 だが、その数日後、朝日は森友学園に関する財務省決裁文書の改ざん問題をスクープ。当初、安倍首相は「また捏造だろ?」とタカをくくっていたが、後に事実と判明。

「それでも何とか佐川宣寿前国税庁長官をスケープゴートにして乗り切ったかにみえたが、朝日が『そうはさせない』とばかりに、今度は加計スクープをぶっ放してきた。安倍首相のストレスは限界に達している」(同)

 朝日は「打倒・安倍1強政権」を掲げ、特別取材チームを結成し、水面下で“モリカケ問題”の取材を徹底してきた。

 内部関係者は「改ざんスクープは政治部ではなく、関西の社会部が中心となってモノにした。社内でも情報管理は徹底され、紙面が出るまで政治部も知らなかったそうだ。今回の加計スクープは現地の愛媛県で仕入れたネタ」と語る。

 一方、イケイケの朝日にもほころびはある。森友の改ざん問題で盛り上がるさなかには、朝日新聞関係者を名乗る人物がツイッター上で「もはや安倍政権を倒すためには報道機関としての誇りを捨て、倒閣の為の運動体の様な今の朝日新聞の姿勢には失望している」と書き込み話題となった。

 これが本当に朝日新聞記者かどうかは不明だが、同社の若手記者の中には「あまりにも“左”に寄りすぎている」「上司の意見が絶対で、まるで軍隊」「記者としてフェアな報道をしたい」など“こんなはずじゃなかった”との声が聞かれるのも事実だ。

 朝日VS安倍首相のバトルは、どちらかが倒れるまで続けられそうだ。