「#me too」拡大!韓国セクハラに独特の文化的構造

2018年03月07日 08時00分

セクハラ問題を示唆してアカデミー賞授賞式で女性に起立を求めた、主演女優賞のフランシス・マクドーマンド(ロイター)

 南北首脳会談の4月開催合意や李明博元大統領の収賄容疑などによる取り調べが、世界的に注目されている韓国でいま、同国民が熱くなっているのは、セクハラ問題だ。昨秋、ハリウッドの元大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏(65)のセクハラ問題に端を発し、同様の被害を訴える「#me too(私も)」の動きが世界に拡大。韓国でも“次期大統領候補”や、万年ノーベル文学賞候補の“国民詩人”など、超有名人がセクハラ告発を受け、地位を失いつつある。しかも韓国でのセクハラには、独特の文化的構造もあるようだ。

 韓国与党「共に民主党」所属の安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事(52)は6日、秘書の女性が5日のニュース番組で「安氏から性暴力を加えられた」と告発したことを受け、フェイスブック上で「申し訳ない」と謝罪、辞意を表明した。安氏は「女性と合意の上で関係を持った」とする当初の説明を撤回し「全て私の過ち」と問題行動を認めた。

 安氏は昨年12月の段階で次期知事選への不出馬を表明しており、文在寅大統領の後継を狙い、足場を固めるとの観測もあった。つまり“次期大統領候補”だったわけ。だが、セクハラ被害を訴える世界的な動きが韓国でも急拡大する中、最大級の不祥事に発展。文政権にとっても痛手となりそうだ。

 女性は5日、JTBCテレビに実名で出演し、安氏の秘書として働き始めた昨年6月末以降、海外出張に随行した際など、計4回にわたり性暴力を受けたと主張した。聯合ニュースは「警察は6日、捜査着手を視野に情報収集を始めた」と報じた。

 また、韓国では先月、毎年ノーベル文学賞候補として名が挙がる“国民詩人”高銀(コ・ウン)氏(84)のセクハラ疑惑も浮上し、大騒動になっている。

 騒動を受け、6日の朝鮮日報によると、京畿道水原のオリンピック公園内に設置されていた高氏作の慰安婦被害女性への追悼詩碑が、先月末に撤去されたことが明らかになったという。

 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は「安氏、高氏の疑惑が事実だとして、地位も名誉もある人を何がセクハラに走らせたのか。それは一にも二にも彼らの名声です。韓国人のセクハラは典型的なパワハラ系です。上司から部下、教師から生徒、牧師から信徒、まれに実の父から娘といった、立場の上下を利用した形で行われます。たとえば、大学教授が女子学生に『単位は心配いらない。その代わりに…』と関係を迫ることなど珍しくないそうです」と指摘する。

 さらに、この立場の上下が明確にできてしまう構造があるという。

「儒教のゆがんだ解釈からか、韓国では『先生』と呼ばれる人は無条件で偉いと思いたがる風潮があります。教師、弁護士、医者…これらの職業はそれなりの学歴が必要とされますが、さしたる学歴なしに『先生』になりたい人は牧師になります」と但馬氏。

 韓国では全国に少なくとも40校もの無許可の神学校があり、そこでは40万円程度で「牧師」の資格が買えるという。

「牧師の性犯罪(被害者の多くは信徒)も、もはや韓国名物になっておりますが、問題を起こす牧師の多くが、そういった“ナンチャッテ牧師”の可能性が高いでしょう」(同)

 韓国でセクハラといえば、朴槿恵被告(前大統領)の初訪米に随行した報道官が在米韓国大使館のインターンの女性にセクハラを行い、問題になったことがあった。

 但馬氏は「彼にしてみれば、大使館の見習い学生ごときだから、大統領付きの報道官であるオレの相手をして当たり前、と思っていたフシがある。米国暮らしが長いインターンにはそれは通用しなかったというわけです」と話している。