国会は「働き方改革」関連法案の提出を目指す政府・与党と、法案阻止でスクラムを組んだ野党6党(立憲民主党、希望の党、民進党、共産党、自由党、社民党)の攻防がヒートアップしている。

 同法案をめぐっては、安倍晋三首相が裁量労働制の拡大について、厚生労働省の不適切なデータを衆院予算委員会の答弁で引用・撤回したことを受けて、法案提出が月内から3月に遅れることが予想されている。厚労省では、裁量労働制の対象拡大を来年4月から2020年4月に遅らせることも検討されている。

 だが、働き方改革関連法案の施行時期について、加藤勝信厚労相と協議した安倍首相は21日「自民党内の理解をしっかり得るように」と指示。加藤氏は「長時間労働(の規制)や同一賃金同一労働を含めて、どういうタイミングがいいか議論している」と話し、同法案の提出方針を堅持した。

 一方の野党6党は、国会内で幹事長・書記長会談を行い、裁量労働制をめぐるデータ誤用問題を踏まえ、同法案の今国会提出阻止へ全力を挙げることで一致。労働時間実態の再調査を含め、与野党幹事長会談の早期開催を要求した。

 立民の辻元清美国対委員長は、厚労省が裁量労働制拡大施行の1年延期を検討していることに「延期して済む話ではない。いったん法案は取り下げるべきだ。厚労省は顔を洗って出直してこいと言いたい」と激怒した。

 22日の衆院予算委員会では、同法案の集中審議が再開される。裁量労働制は実際に働いた時間ではなく、あらかじめ決めた「みなし労働時間」に基づいて賃金を支払う制度。質問に立つ野党は政府に「裁量労働制が安心で安全だという保証が先決ではないか?」など厳しく追及する方針だ。

 立民関係者は「裁量労働制には年収要件がなく、若い人が苦しんでいる。政府は同法案の対象を一部の営業職に広げることを法案に盛り込もうとしてる。法案が通過すれば過労死が増える危険が高い」と指摘している。