国会は「働き方改革」関連法案の柱となる裁量労働制を巡る厚生労働省のデータ誤用問題で大揺れだが、舞台裏では「NHKで国会中継されたが、平昌五輪中継には負けた…」(野党関係者)と愚痴が噴出している。

 安倍晋三首相は20日の衆院予算委員会で「働き方改革」関連法案に絡み、問題となった裁量労働制データ誤用に関し、立憲民主党の逢坂誠二氏の「今後、実態把握のため再調査を行うか?」という質問に「再調査は行わない」と答弁した。

 安倍首相は再調査しない理由について「労働時間の資料も含めて労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)で審議した」と説明。加藤勝信厚生労働相も「それ(再調査)をしなければ先に進まないということにはならない」と主張した。

 政府は裁量労働制の労働時間短縮の根拠とした厚労省のデータが間違っていたことで、安倍首相が誤用データに基づく1月29日の答弁を14日に撤回、謝罪する事態にまで発展した。

 一方の立民などの野党各党は、裁量労働制は働きすぎにつながるとして「(与党側は)隠蔽だ。月末に裁量労働制の法案が国会に提出され強行的に可決すれば、間違いなく死者が出る」と法案からの削除や、法案の今国会提出断念を要求した。

 この日の衆院予算委員会の模様は、NHKで生中継(午後1時~4時59分)されたが、同じ時間帯には平昌冬季五輪のカーリング女子「日本×英国」(テレビ東京系、午後1時35分~)が放送された。

 民進党国会議員は「多くの視聴者の関心は、野党が安倍内閣に攻勢をかけた厚労省のデータ誤用問題の追及よりも、日本カーリング女子の準決勝進出(をかけた英国戦)だった。選挙区の支援者から『悪いけどNHKからテレ東にチャンネルを変えたよ』と連絡がありましたから…。同僚議員とは『安倍首相は何をやってもうまくいく。野党は平昌五輪開催中とタイミングが悪かった』と愚痴がこぼれました」と嘆いた。