衆院選(22日投開票)で“首相経験者”が、再び崖っ縁に追い込まれた。首都圏激戦区の東京18区(武蔵野市、小金井市、府中市)で、立憲民主党から立候補した菅直人氏(71)が、自民党の土屋正忠氏(75)、希望の党の鴇田敦氏(51)と激しい選挙戦を展開している。

 菅氏は過去2度の衆院選(2012、14年)で、いずれも土屋氏に敗れ、旧民主党の比例代表で「最後の議席に滑り込めた」と、首相経験者らしからぬ情けない結果が嘲笑され、苦い経験を味わった。

 選挙アナリストは「選挙情勢は土屋氏を菅氏と鴇田氏が追う展開。土屋氏は今回、自民党内規の73歳定年制に従い、比例代表に重複立候補できなかったので、全力を挙げての選挙戦。菅氏は、夏の東京都議選で民進党都議が離党し、小池百合子氏が代表を務めた『都民ファーストの会』から出馬したのが痛い。旧民進党都議は、菅氏ではなく鴇田氏を応援する。菅氏には厳しい選挙戦です」と分析する。

 選挙前、菅氏は民進党が希望の党に合流し、無所属で立候補するとみられていた。ところが、“エダノン”こと枝野幸男氏が、小池氏の「排除の論理」に猛反発して結党した立憲民主党での立候補が決まった。

 菅氏は東京・府中市で17日、本紙の直撃に「枝野代表の参加の呼びかけに即日応じた。立憲民主党は勢いがある。小池さんの希望の党は人気が落ちた。その分、自民党の票が伸びるのではないか。選挙戦の後半は、自民党と立憲民主党の戦いになる」。

 しかし、街頭演説では菅氏が握手を求めても素通りする人が散見された。

「前回の衆院選では、菅さんの街宣車が来ると、家に逃げ込む人が周りに多かった。枝野さんの人気に頼れば、比例でギリギリ当選するかもしれない」(地元有権者)

 過去2度の衆院選では負けを喫し、比例復活した菅氏。今回はどうなるか。