“失言大王”の異名を持つ麻生太郎副総理兼財務相(76)が自身の「ヒトラーはいくら動機が正しくてもダメだ!」との発言をスピード撤回し、話題になっている。

 麻生氏は29日に横浜市で開いた麻生派研修会の講演で「(政治家を志した)動機は問わない。結果が大事だ。何百万人を殺したヒトラーは、いくら動機が正しくてもダメだ」と持論を展開した。ナチス・ドイツの独裁者を「動機は正しい」と擁護しているとも受け取られかねないことから、批判が上がると麻生氏は一夜明けた30日、不適切だったとして「あしき政治家の例として挙げた。間違ったような認識を与える結果となった」と撤回した。

 一方で「政治家は結果を出すことが大事だと強調する趣旨だった。(例示以外の発言は)撤回するつもりはない」としており、「私の真意と異なった話が伝えられているのでこういう騒ぎになった」と不満をにじませた。

 麻生氏は財務省のホームページ上にも“ヒトラー発言”を撤回したコメントを英文で掲載。来週には米・ペンス副大統領らとの面会を予定しており、訪米直前の火種となるのを避けたいようだ。自民党関係者は「麻生氏に悪意はなかった。研修会に“不倫疑惑報道”の今井絵理子氏は欠席したが、麻生氏が『あしき政治家』と説明したのは今井氏を指しているという見方もある。今井氏にこれから政治家として結果を出すようエールを送ったつもりが、逆に誤解された」と話した。

 麻生氏は2013年7月の講演で、憲法改正に絡み、ナチス政権に言及し「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。あの手口を学んだらどうか」と発言して批判を浴び、撤回した。

「総理大臣のとき学生との対話集会で『金がないなら結婚しない方がいい。オレは金がない方じゃなかった』と発言して野党に猛批判もされた。党内では『麻生さん、またか!』とあきれる声が上がってますが、憎む人はいない。人柄は悪くありません」(前出の自民党関係者)

 麻生氏の“ゴーイングマイウエー”は続きそうだ。