都議選で小池百合子都知事(65)が率いた都民ファーストの会が圧勝し、次なる都政改革で大きな動きとなるのが公用車の廃止だ。舛添要一前都知事(68)が辞職に追い込まれた端緒となった問題で、議員特権の一つにメスが入る。

 都議会は昨年11月時点で、議長車、副議長車、幹事長車、会派優先車など計22台を保有。そのグレードも議長車はレクサスLS600hLで価格は1400万円以上と高額。副議長車はレクサスLS600hで1100万円。さらに新型燃料電池自動車MIRAI(ミライ)を1台保有し、価格は700万円以上。他の車はすべてトヨタのクラウンで400万~600万円前後とみられる。

 共産党都議団が昨年4月から今年3月までの使用実態を調査したところ、1位は自民党で議長だった高島直樹氏(67)が192日。内田茂元幹事長(78)が183日で2位だった。127人いる都議のうち、実に半数以上となる75人が使用していた。

 問題視されているのは公用車がタクシー代わりとなっている点だ。選挙応援や集会出席時の移動に使われているケースがあり、また都庁への通勤、退勤で使用したとみられるケースもあるという。

 2015年度決算で、公用車の経費は1億9725万円がかかっていた。公用車7台とバス3台を保有する愛知県では3940万円で、いかに都が公用車にカネをかけているかが分かる数字だ。

 公用車は議長と副議長のみ、公務での使用に限定する案で議論される方針で、かねて主張している共産党をはじめ、都民ファや公明党、民進党が同調する方向だ。

 都議会関係者は「使用ランキングでは東京改革都議団の幹事長だった尾崎大介氏が野党会派で突出していた(150日使用)。せっかく都民ファ入りして、議長にもなったが、議長特権の象徴であるレクサスの使用は限定的になるんでしょうね」と皮肉る。

 既に小池都政では議員報酬の2割カット、政務活動費を月60万円から50万円への減額など、身を切る改革は着々と進んでいるが、「2割削減といっても1700万円から1400万円でまだまだ高給。ほかにも削減する余地はある」(同)。

 都議会にこびりついた“特権意識”を払拭するにはまだまだ時間がかかりそうだ。