友人が理事長を務める学校法人「加計学園」問題を巡り、衆院予算委員会の閉会中審査に出席した安倍晋三首相(62)が大ピンチを迎えている。

 24日の同予算委で安倍首相は「加計学園側からの働きかけを指示したことや自ら便宜を図ったことは一切ない」と否定した。同時に「国民から疑念の目が向けられることはもっともだ」と釈明。加計学園問題を巡るこれまでの野党側の質問に対する国会答弁については「不十分だった」という認識を示した。

 今回の集中審議では野党側と新たな火種が生まれた。民進党は、安倍首相が加計学園が獣医学部新設を申請していることを「今年1月に初めて知った」という答弁に猛反発した。

 民進党の野田佳彦幹事長(60)は「知らなかったのは誰がどうみてもにわかに信じられない。疑惑はむしろ深まった」と批判した。

 野党側は25日には参院予算委で行われる閉会中診査と来月3日に行う内閣改造での幕引きは許さないとして、加計理事長や前川喜平前文部科学事務次官(62)、和泉洋人首相補佐官(64)らの証人喚問を求めるなど攻勢を強めている。

 最新の各社世論調査によると、安倍内閣の支持率は30%前後に急落。安倍首相は内閣改造で反転攻勢を強めたい意向を持つが、期待できないのが現状。こんな状況なのに、なぜ自民党内から“安倍おろし”の動きが起きないのか。

 自民党のある国会議員は「党内に“ポスト安倍”の人材がいない。第2次安倍内閣が発足後、“安倍人気”だけを頼りにやってきたツケが回っている。昔、自民党の派閥が強かった時代は、党内から『次は俺がやる!』と手を挙げる政治家がいたが、今は安倍内閣の“イエスマン”が多い。倒閣運動など起きない」と打ち明けた。

 唯一、石破茂元幹事長(60)のグループ「水月会」が安倍首相への批判を強めているが、まだ少数派。引きずりおろされる心配がない安倍首相は、どう支持回復の奇策に転じるか?