自民党は、都議選の大惨敗を受けて辞任を表明した下村博文都連会長(63)の後任選びが難航している。自民党関係者は「次の都連会長は、公明党との関係修復という大きな課題や、都議選で築地市場の豊洲移転問題で“決められない知事”と批判した小池氏との距離感をうまく保てるかなど、政治的な手腕が問われる」と語る。都議選で小池百合子知事(64)と対立した前都連幹事長の内田茂氏(78)らの現都連執行部側は、東京五輪・パラリンピック担当大臣の丸川珠代参院議員(46)を新都連会長に推している。

 一方で、10日に平将明衆院議員(50)、元ビーチバレー日本代表の朝日健太郎参院議員(41)ら国会議員5人が、都連会長人事を党員らの選挙で開催する要望書を都連に提出した。

「現執行部が後任に据えたい丸川氏は政権側で、なにかと扱いやすい。一方、要望書を提出した平氏ら反執行部派は『丸川氏は下村氏と同じ細田派。都民に反省の姿勢を示すことができない』と猛反発し、鴨下一郎元環境相を推している」(都連関係者)

 鴨下氏と小池氏は日本新党で同じ釜の飯を食べた仲として知られ、融和ムードにもなる。丸川氏は五輪会場や費用分担問題で対立したように、小池氏との全面戦争は継続必至だ。

 その丸川氏は昨年、党執行部が所属の全国会議員に新規と継続を合わせて課した「党員1000人獲得」の目標で、なんと“最下位”だったという不名誉な結果が一部で伝えられた。

「丸川氏が党員を2人しか獲得できなかったと先週、報道された。これは反執行部側のリークという見方が強い。丸川氏に対し、党内のほかの派閥から不満の声を噴出させる狙いがあったそう。鴨下氏も一部で“体調不安説”が流されている。対立は泥沼化する」(別の自民党関係者)

 さらに複雑な要素がある。鴨下氏は安倍晋三首相に対決姿勢を示した石破茂前地方創生担当相(60)の側近だ。「実は都議選で公然と政権批判していた候補者のほとんどは石破氏が支援していて、安倍首相VS石破氏の代理戦争さながら、きなくさくなっている」と都連関係者。

 中立派を模索する動きもあり、都議選惨敗の戦後処理は難航しそうだ。