都議選で「都民ファーストの会」が圧勝し、小池百合子都知事(64)の次なる手に注目が集まっている。国政政党の結成がささやかれる中、その名称を巡って、既に駆け引きが繰り広げられていた。

 小池氏は都民ファの代表辞任を表明した3日に「都民ファーストならぬ国民ファーストということをベースに考えていく必要がある。そういう方が増えていけば国民にとってもいい」と発言。国政進出はかたくなに否定するが“国民ファースト”のワードがサラリと出たのを受け、「若狭勝衆院議員や渡辺喜美参院議員らが結成濃厚な新党名称は『国民ファーストの会』で決まりじゃないでしょうか」と永田町関係者。

 実はこの「国民ファーストの会」を今回の都議選で名乗っていた候補者がいた。千代田区から出馬した無所属の後藤輝樹氏(34)は、5月に総務省に政治団体「国民ファーストの会」を届け出し、都議選では同会代表の肩書を名乗っていた。

 後藤氏は「小池さんは『都政に集中する』とか『国政には興味ない』とか言っているが、結局、総理や国政に色気を出しているのを感じる。都民ファーストでずっとやってほしいが、安易に『国民ファースト』となるのを危惧して、5月に届け出た」と話す。

 となると、小池新党が「国民ファーストの会」を設立するのは不可能なのか? 総務省によれば、政治団体においては名称の重複は認められており、問題はないという。

 今後、所属国会議員が5人以上等の要件を満たした国政政党「国民ファーストの会」ができた場合は、その後に同じ名称を登録できないルールがある。

 後藤氏の場合は、先出ししているため、小池新党が国民ファとなったとしても同名称を使用することは問題ないという。維新ブームが起きた際にも全国で維新を名乗る党が乱立し、松井一郎大阪府知事(53)が率いる「日本維新の会」は現時点でほかにも3団体が存在する。

 小池新党が発足し、「国民ファースト」を名乗れば、後藤氏に見透かされていたともなり、新味もなければ、混乱も招きかねない。それでも同名称を使用するのか? 頭を悩ますことになりそうだ。