小池都知事「都民ファ代表辞任」本当の理由

2017年07月05日 07時30分

 都議選で大勝利を収めた小池百合子都知事(64)が開票から一夜明けた3日、都内で報道陣の取材に応じ、自身が率いる地域政党「都民ファーストの会」が「都民の期待を受け、第1党に上り詰めることができた。第1党の役目をしっかり果たす」と述べた。一方で「知事に専念する」として、同日付で会の代表を退き、特別顧問に就いた。都民ファの事実上トップであることに変わりはないが、突然の代表辞任の本当の理由は? 

 小池氏は「(首長と議会が互いにチェックし合うという地方自治体の)二元代表制への皆さんの懸念があることを想定し、知事に専念したい」として、この日付で代表を辞任し、後任には野田数幹事長(43=顔写真)を充てるとした。小池氏は都議選告示前の6月1日、特別顧問から代表に就いていた。

 二元代表制が崩れるとの懸念は以前から指摘されており、小池氏は大阪府の橋下徹前知事(48)の「大阪維新の会」、名古屋市の河村たかし市長(68)の「減税日本」などを例に挙げ、問題ないと強調。前日の開票センターでの質疑応答でも、再三、突っ込まれたが、「二元代表制でおかしくなるというのならメディアもチェックすべき。これまでの都議会がドン(内田茂前都連幹事長)の一元代表制だったのでは? 私が変えてみせる」と発言していたが、一夜にしての豹変だ。

「もともと小池氏は都民ファの代表になる予定ではなかった。1か月前に都民ファの支持を高めると同時に、当時代表だった野田氏がアントニオ猪木氏から公金着服で刑事告訴の話が出て、やむなく代表になっただけ。これから都民ファの当選者たちのスキャンダルが次々に噴出しそうなので、代表のままだと小池氏を直撃する。再び野田氏を代表に戻し、自身は火の粉から逃れるという算段でしょう」(都政関係者)

 同時に代表の座を降り、身軽にしておくとの思惑も見え隠れする。この日、小池氏と同氏を支援する若狭勝衆院議員(60)が自民党に提出していた離党届が受理され、正式に自民党籍を離れた。

「都民ファの圧勝を受け、小池人気に乗ろうと無所属議員を中心に小池新党ができるのは時間の問題です。小池氏は自らをフリーハンドのポジションに置き、いずれ時が来た時にはどこにでも打って出られる。“政界渡り鳥”の異名通りで、このあたりの嗅覚は抜群」(永田町関係者)

 小池氏はこの日、都民ファの国政進出について「今はそういう状況にない」と否定しつつ、「いろいろな動きが国政で出てくると思うが、情報公開、都民ファーストならぬ国民ファーストということをベースに考えていく必要があるという方が増えていけば、それは国民にとっても良いことだと思う」と語り、都民ファに同調する国会議員が増えることに期待した。

 自民党の国会議員は「小池氏は都民ファの国政進出に『今はそういう状況にない』と否定したけれど、任期満了となる来年12月までに行われる衆院選までに若狭氏を中心に“小池新党”の国政進出の足がかりを作ることが予想される。民進党が分裂し、保守系議員が小池新党に加われば野党再編です」と語る。

 なお、都民ファは都議選で推薦していた無所属候補のうち、当選した6人を追加公認した。小池氏は6人について「(都議会の)会派入りを基本に考えていきたい」と話した。合流すれば、都民ファの議員数は55人になる。

 また、都民ファに自民党や民進党からの移籍組などさまざまな当選者がいることに関し「これまで政党が瓦解する理由はワンボイス(一つの意見)でなかったことだ。意思決定の場を固めていきたい」と述べた。

 しかし、基盤となる組織がない都民ファは小池氏の求心力だけで、この1か月の選挙戦を乗り切ったともいえるだけに、空中分解に陥る事態も懸念されている。落ち着くかに見えた「小池劇場」だが、まだまだ波乱要素は満載だ。