直前に迫った東京都議選(23日告示、7月2日投開票)の真っ最中となる30日に、小池百合子東京都知事(64)の“参謀”とも言える若狭勝衆院議員(60)が著書を出版することが分かった。タイトルもズバリ「参謀力」(双葉社)。本紙のインタビューに応じた若狭氏は、都知事選で小池氏を応援する際に受けた“あの男”からの暴言や、法律家として「“昏睡レイプ事件”で逮捕状が出されながら、逮捕されなかったことは大問題」などと熱く語った。

 今回の出版について若狭氏は「私は東京地検特捜部で、しがらみに縛られた政治を外から見てきた。政治家になって中から見ても、しがらみ政治にどっぷり漬かっている。昨年は都知事選、今年は私の自民党離党などもあったし、一つの区切りと思って、今までのことをまとめておこうかと思った」と語った。
 議員になると周囲から「政治ってそんなものだよ」「そんなこと言ってたら、政治家として終わっちゃうよ」などと言われたという。「今回も『そんなことで離党したら、次の選挙で落ちるよ』とか言われた」

 ただ、しがらみ政治は、国政よりも都政の方に強く残っていた。自民党東京都連は2014年の都知事選で舛添要一氏(68)を、舛添氏退陣を受け、小池氏が当選した昨年の都知事選は増田寛也氏(65)を推薦した。

「舛添さんも増田さんも、都連が『自分たちのコントロール下に置ける』と思った人物。でも小池さんは自分たちのコントロール下に置けないから支援しない。そういう構図です」

 その小池氏を応援する若狭氏に対し、党内からの批判は大きかった。自民党都連における都知事候補を協議する会議で「小池さんしかいない」と主張すると、猛反論してきたのが、「がん患者は働かなくていい」などさまざまな暴言で知られる大西英男衆院議員(70)だった。

「失言や暴言の王みたいな人(笑い)。でも、ああいう人が自民党都連の副会長だったわけだから、後は推して知るべしで、しがらみ政治にどっぷり。大西さんには、僕もかなりきつく言われましたね」

 法律家の若狭氏にとっては、元TBSワシントン支局長のジャーナリスト山口敬之氏(51)に対していったん準強姦容疑での逮捕状が出されながら、逮捕されなかったことは大問題だという。

「あれは逮捕状の執行直前に、当時警視庁刑事部長だった中村格氏がストップさせたこと自体が大きな問題。普通は所轄で取った逮捕状を刑事部長がストップをかけることはありえない話。きちんと説明する必要がある」

 その理由については、さまざまな臆測を呼んでいる。中村氏が一時、菅義偉官房長官(68)の秘書官を務めていたり、山口氏が安倍政権に近いジャーナリストであることが関係しているとも言われるが…。

「そこについては分からないけど、万が一にでも政治の力で逮捕を取りやめるなんてことがあったら絶対に許されない。それは警察庁長官や国家公安委員長のクビが飛んでもおかしくない。責任取らなきゃならないくらいの話です。今回の件の経緯について、きちんと説明する必要があるでしょうね」

 米国でもトランプ大統領(71)が、米連邦捜査局(FBI)へ捜査を妨害する圧力をかけた疑惑が問題となっているが、日本でも説明責任が必要なことだけは違いない。