築地市場移転に伴う豊洲市場の土壌汚染対策を検討する東京都の「専門家会議」が11日、築地市場内で約3週間ぶりに開かれ、地下空間の補強など新たな安全対策の提言をまとめた。移転か存続かで揺れる築地市場を抱える中央区も、来る都議選(23日告示、7月2日投開票)で定数1を争う候補予定者の主張が分かれており、その経歴も複雑極まりない。

 こじれにこじれた市場移転問題。小池百合子都知事(64)が都議選前に判断を下す可能性もあるが、同選挙でも最大の争点になりうる。「自民、公明、維新が移転賛成派、東京改革議員団(民進)は条件付き賛成、反対は共産党で都民ファーストだけが代表でもある小池都知事の判断待ちです」(都議会関係者)

 ややこしいのは中央区選挙区の候補者だ。1981年から計8期、定位置を守っていた自民党の立石晴康都議(75)が都議選を前に築地再整備を訴え、離党したのが混乱の始まりだ。自民党は石島秀起中央区議(57)を「中央区36年ぶりの新人」との触れ込みで立石氏の刺客に擁立した。

 一方、市場問題PTの委員を務め、テレビに引っ張りダコだった建築エコノミストの森山高至氏(51)が遅々として進まぬ移転問題に業を煮やし、築地再整備を訴え、無所属での出馬を決めた。

「移転反対の『築地女将さん会』が森山氏を支援し、当初共産党は女性候補を擁立予定だったが、取り下げて、勝てる可能性のある森山氏に乗っかった。お堅い共産党としては画期的な“一本化”です」(都議会関係者)。都民Fは小池氏の結論が出ていない中、“紛争地”への参戦は見送るかと思われたが、先月末になって、西郷歩美中央区議(32)を擁立した。

「西郷氏の出馬は森山氏が都民Fにケンカを売ったことへの意趣返しでしょう。西郷氏は民進党からの引き抜きで、西郷隆盛直系の5代目当主と3か月前に結婚し、西郷姓となった。自民党の石島氏も前回の区議選ではみんなの党からの出馬で、維新の(公認候補予定者の)神谷俊宏氏は元都庁職員。有権者は混乱必至です」(地元関係者)

 事前の情勢調査では、“小池氏と西郷隆盛”の二枚看板がある西郷氏、自民党の石島氏、森山氏で三つどもえの様相だが、小池氏が都議選前に移転判断を決めれば、ガラリ一変すること必至だ。