世界各国で先週末に発生した大規模なサイバー攻撃の被害が広がる中、2020年東京五輪開催に向け、サイバーセキュリティー対策問題が解決されていない。政府は17日、人材育成に取り組む意向を表明した。

「ホワイトハッカー」育成プログラムでは、17人の未成年者の受講生を受け入れた。菅義偉官房長官(68)は「技術の指導に加え、倫理面の教育についてもしっかり行っていく必要がある。わが国のサイバーセキュリティーを担う人材の育成にしっかりと取り組んでいきたい」と語った。

 一方、自民党の「サイバーセキュリティ対策推進議員連盟」(遠藤利明会長)は16日の会合で、東京五輪に向けてサイバーセキュリティー分野の能力向上を図る提言をまとめた。行動計画の策定や必要な予算の確保を提唱。サイバー攻撃者を追跡するため、不正アクセス禁止法の改正や、罰則の強化について速やかに検討するという。

 情報を一元的に管理する体制の構築やサイバー人材の育成が柱で、今月中に安倍晋三首相(62)らに提出し、政府が6月に策定する経済財政運営に関する「骨太の方針」に反映させたい意向だ。

「日本は深刻な脅威にさらされている。東京五輪では、ハッカー集団によるサイバー攻撃の集中砲火に対応できる専門職の人材確保が必要だが、ロンドン五輪や昨年のリオ五輪の時と比べると遅れている」と同推進議員連盟メンバー。

 政府は、東京五輪期間中のサイバーテロ攻撃の対策に向けて、東京都や競技会場のある地方公共団体と緊密な連携を目指し、内閣官房に「セキュリティ調整センター(仮称)」の設置を目指している。

 しかし、ハッカー集団は巧妙な技術を駆使して侵入してくる。まずは「サイバーセキュリティー対策に必要不可欠な課題は、多くの人にセキュリティー問題や危機管理に関心を持ってもらうこと」と同メンバーは語っている。