豊洲市場への移転問題を検討する都議会の百条委員会は4日、東京ガスとの交渉時に都の幹部だった前川燿男元知事本局長(現練馬区長)、赤星経昭元政策報道室理事、野村寛元知事本部首都機能調査担当部長の3人を証人喚問した。不毛ともいわれた百条委の落としどころは――。先月、浜渦武生元副知事(69)、石原慎太郎元知事(84)の証人喚問で、都議らは2人の迫力を前に、ヘビににらまれたカエルのようで、百条委の開催意義すらも問われていたが、この日は一変した。

 石原、浜渦氏に反旗を翻していた前川氏が「石原さんがなかなか出勤しない中、浜渦氏が腹心として権力を握っていた。浜渦氏は自分の所管以外にも特定の部課長に直接指示していたのは間違いない」と“独裁者だった”と証言。

 そのうえで2001年の東京ガスとの基本合意後も実質的な責任者だったとの言質を得るや「少なくとも5つ以上の資料で浜渦氏が豊洲移転にかかわっていた。浜渦氏の偽証について提案したい」(都民ファーストの会の音喜多駿都議)、「(浜渦氏が交渉を)独断で動かしていた可能性が極めて強い。浜渦証言は偽証と言わざるを得ない」(公明党の上野和彦都議)と偽証罪で告発する構えを見せた。

「偽証だと追及したのは都議会自民党側が“小池与党連合”と命名した公明、共産、都民ファーストの3会派の議員。当初は浜渦氏と石原氏をセットで豊洲移転の責任を押し付けようとしたが、石原氏攻撃への反発が強く、浜渦氏一人に絞った格好でしょう」(都議会関係者)

 もっとも告発には百条委や本会議での議決が必要でハードルは高い。百条委の桜井浩之委員長(自民党=51)はこれまでに24人を証人喚問し、一定の成果があったと強調。浜渦氏一人を“グレー認定”したまま終結もあり得る状況だ。