学校法人「森友学園」(大阪府)の理事長退任を表明している籠池泰典(本名・康博)氏(64)が23日、国会に証人喚問され、安倍晋三首相(62)のアッキーこと昭恵夫人(54)との“濃密な関係”を主張したことで、野党は「昭恵夫人の証人喚問」を要求する構えだ。スキャンダルのもとが大臣なら、クビを切れるが相手は夫人だ。「離婚しかないが…」と野党関係者からタブー発言も飛び出す始末。自民党関係者は「陳情ファクスの中身は法の範囲内。しかし、アッキーシフトが裏目に出てしまった!」と青ざめている。

“籠池爆弾”には隠し玉があった。一礼して参院委員会室に入った籠池氏は雰囲気にのまれることなく、言いたいことを言いまくった。

 昭恵夫人を介した首相からの100万円寄付の詳細を証人喚問の場でもはっきり述べ、小学校建設に使用する国有地の定期借地契約の件で昭恵夫人に助けを求めたエピソードを紹介。

「平成27(2015)年10月に昭恵夫人の留守電に吹き込んだ。後日、夫人付秘書の谷査恵子氏からファクスがあり『希望には沿えない。夫人には伝えた』とあった」(籠池氏)と暴露した。

 谷氏はファクスで「財務省本省に問い合わせ、国有財産審理室長から回答を得ました」とし「ご希望に沿うことはできない」ながらも「当方としても見守ってまいりたい」と回答。籠池氏が問い合わせていた件について、簡単にまとめてもいた。

 質問に立った民進党の福山哲郎参院議員(55)は「夫人のスタッフが動いていた。面食らった。役人の忖度(そんたく)が働く状況だ」とファクスは働きかけの証拠になり得るとした。

 一方、菅義偉官房長官(68)は「忖度以前のゼロ回答だった」と問題なしとしたが…。

 自民党関係者も「ファクスの内容は法の範囲内を出るものではなく、セーフだろう」と不安視していない。だが、むしろ問題なのは“アッキーシフト”の崩壊だ。

「安倍首相や官邸にとっては痛恨の極みじゃないか。もともと、首相夫人付なんていなかった。でも、昭恵夫人は放っておくと何をしでかすかわからないから、監視の意味でつけていた。それなのに、そのスタッフをこんなことに使われてしまった」と天を仰ぐ。

 首相夫人付にあたる職員は、辻元清美衆院議員の質問主意書に対する政府答弁書によると、確認できる限りでは06年の第1次安倍政権で始まり、福田内閣を除いて現在まで配置されている。とはいえ、現在5人体制のアッキーシフトは異例とみられる。その職員たちが、お目付け役なのに“ミイラ取りがミイラになった”とあっては、アッキーシフトの意味がない。官邸の危機管理に大きな穴があったと言わざるを得ない。

「某県の首長は当選後、夫人に『いろんな人がいろんな話を持ってくるが、自分で決めるな』と厳命していたくらい。トップリーダーとはそういうものなのに、安倍首相は昭恵夫人を甘やかしすぎていましたよ。今後は昭恵夫人に家でじっとしていてもらいたいが、無理だろう」(前出の自民党関係者)

 籠池証言を受けて、野党は昭恵夫人の証人喚問を求める構えだ。

 恐れていたアッキースキャンダルに安倍内閣の支持率も徐々に落ちている。これまで安倍内閣は問題閣僚を辞任させることでダメージコントロールしてきた。野党関係者は「首相夫人は役職ではないので、昭恵夫人を切るとなると離婚しかない。果たしてそれができるのか」と指摘した。

 首相夫妻の離婚。「それはちょっと…」(別の自民党関係者)と誰もが口が重くなるタブーだ。永田町関係者は「仮面夫婦説が出たこともありますが、実は安倍首相の方が昭恵夫人にラブだというのです。だから昭恵夫人は好き放題やっている」と明かした。

 家庭内野党といわれるアッキーもまた、安倍首相を守った。23日夜、フェイスブックで籠池氏にこう反論し、口利きを否定した。

「私は、籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません」とし、寄付金授受の場で秘書に席を外させたこともないと明言した。ファクスについても「私は関与していません」。

 籠池爆弾は、総理大臣の家庭内にもダメージを与えているようだ。