小池百合子東京都知事(64)が誕生してから約半年が経過し、書店には今、小池氏や都政をテーマにした書籍がズラリと並んでいる。小池フィーバーに乗ってどれも好調な売れ行きを見せているが、著者と小池氏の関係が実に興味深い。それぞれの本は現在繰り広げられている“小池劇場”と連動する縮図ともいえる!?

「昨年12月末から、怒とうの出版ラッシュになっています。これほどまで都政に関する書籍が脚光を浴びたことはかつてない」(都政関係者)

 小池氏の最側近で、政務担当特別秘書を務める野田数氏(43)が都知事選の舞台裏や小池氏の諸政策の狙いを細かく解説しているのが「都政大改革 小池百合子知事&『チーム小池』の戦い」(扶桑社新書)だ。

「野田氏はもともと小池氏の(議員時代に)秘書を務めた後、自民党都議、アントニオ猪木参院議員の政策秘書も務めた異色派。都議会のドン・内田茂都議に敵意をむき出しにしていて、戦略を練っている一端が見える」(都政関係者)

 都知事選で小池ブームの大きなうねりを作ったともいえるのが、元都知事で作家の猪瀬直樹氏(70)だ。

「東京の敵」(角川新書)で、徳洲会事件での辞任をわびながらも「小池都政を後戻りさせてはいけない」と自身の経験から、都政運営の障害になった内田氏と東京五輪大会組織委員会の森喜朗会長(79)との暗闘の歴史をつづっている。

 本紙週末連載「言いたい放談」でおなじみの上杉隆氏(48)は、20年近く都政取材をした立場から「誰が『都政』を殺したか?」(SBクリエイティブ)を上梓した。大手メディアでは伏せられている築地市場の豊洲移転の真相や五輪招致・会場問題など暗躍者を実名で暴露している。

 小池氏の“ブレーン”の一人ともいわれ、小池氏の政策から男性観まで肉薄したロング対談も掲載している。

 一方、「東京の大問題!」(マイナビ新書)の著者で中央大学教授の佐々木信夫氏は、元都庁職員の目線から小池都政を分析。

「ワンイシュー・ポリティックス(単一争点政治)は一時的に人気が高まりますが、結局、終わりが来やすく、小池劇場も例外ではありません」と懐疑的な見方を示す。

 それもそのハズで、佐々木氏は取りやめたものの、当初は千代田区長選(2月5日投開票)で小池氏が支持する石川雅己区長(75)への刺客で出馬する予定だった。数少ない小池ブームへの警鐘派ともいえる。

 元日弁連会長の宇都宮健児弁護士(70)、東京中央市場労組の中澤誠執行委員長、1級建築士の水谷和子氏らの共著「築地移転の闇をひらく」(大月書店)では、豊洲移転の問題点を追及。水谷氏は豊洲の土地取得は都や石原慎太郎元都知事(84)に問題があるとして住民訴訟を起こしている。

 石原氏の責任追及へカジを切った小池氏は7月2日の都議選で、豊洲移転問題を争点にするフシもあり、いずれの本でも立場によって問題の見方はさまざまで興味深いところだ。

「小池氏が主宰する『希望の塾』の塾生4000人や都職員は必読で、政治ジャンルでは久々のヒット作が生まれる予感です」(出版関係者)

 夏には都議選を控え、まだまだ続く予感の小池ブームとあって、関係者の鼻息は荒い。