税金と授業料をむさぼる天下り官僚――。自民党の二階俊博(77)、公明党の井上義久両幹事長(69)は25日、文部科学省の組織的天下り問題の解明に取り組む考えで一致した。この問題で野党側が要求する今国会での集中審議については、2017年度予算案の審議で対応することを申し合わせた。どこまで追及できるか不透明だが、警鐘作家の濱野成秋氏は、高級官僚の天下りの悪質すぎる実態を明かした。

 高級官僚は、天下りを受け入れた民間企業に何十億円もの助成金を導けるような影響力を出身官庁に対して持ち、そうしたつながりでパイプを持っている。しかし、その助成金はあくまで国民の税金だ。

 天下り官僚と戦う老教授を描いた小説「ビーライフ!白亜館物語」(2012年)を著している濱野氏が語る。

「天下りあっせん数十件の文科次官を辞任させた文科省。よくやったと思うか? これは1人に引責辞任させ、文科省全体の刷新に見せかける汚い一手にすぎない。“天下り法”はザル法で(天下りは)来年もやる、再来年もやる。ザル法があるから、その枠内に見せかければ全部通る」

 濱野氏は早稲田大学、日本女子大学などで教鞭を執ってきた。その実体験から、天下り官僚の実態をこう明かす。

「私が大学で予算委員長をやっていたころ、薄汚い天下り官僚に会うと毎回怒鳴ってやった。『仕事しろ! 早く辞めろ!』と。こいつらには学長室並みの立派な部屋が与えられる。立派なソファはあるのにファイル一つない。仕事をまるでしないからファイルは無用なのだ。1期4年間、何もしないで年俸2000万円。ほかに特殊法人で儲けて豪華船旅行ばかり。これ、みんな、サラリーマンの亭主がわが子のためと、営々とためて納めた授業料である」

 天下り官僚がむさぼるのは、年俸だけではないという。大学内で奇妙な営業活動を行うという。

「こいつらは大型機器と称して妙なデバイスを理系教授に売り歩く。1台2億円。毎年買わせる。半分は文科省から出ると誘い込む。その機器は大型といっても机の下に転がしておけるほど小さい。詳細を見ると、ミラー1枚150万円と、むちゃくちゃな数字が並ぶ。リベートはすごいらしいが証拠は見えない。大学積立金を何十億円と勝手に運用し、消してしまった天下り役人もいた。これもみな父母が爪に火をともす思いで納めた授業料だった」と濱野氏。

 日本の大学授業料は世界最悪レベルに高い。入学費と授業料は4年間で私立文系は約700万円、私立理系は約800万円、国公立で250万円。闇予算で悪名高い韓国と同じレベルだ。

 濱野氏は「政府が北欧諸国のように教育に潤沢な予算を付けると、文科省の補助金目当てで天下り役人を雇い入れる良風(?)が減るからと、文科省が陰で拒む。補助金の出どころはもちろん税金。税金を手土産に天下りという汚い役人集団。これが日本の文科省なのです。文科省がなくなれば、教育内容はもっと上がるし、教育費は3分の1に下がる。年金を“盗んだ”社保庁を廃止したように、補助金もろくに出さない文科省も潰してしまうことだ」と指摘する。

 事務次官の引責辞任でだまされてはいけない。私立大学への補助金制度が続く限り、天下りは永遠に続くといえそうだ。