小池百合子東京都知事(64)は、夏の都議選勝利への願掛けとして酒断ちを宣言した。対する“都議会のドン”こと内田茂都議(77)率いる都議会自民党は、年末に3人の都議に離脱されたこともあり意気消沈…と思いきや違った。都議会関係者は「むしろ内田氏はここ数年で見せたことないくらい元気いっぱいなのです。敵がいると燃えるタイプで、小池氏に対抗して内田氏も好物を断つんじゃないか」と驚いている。勝利の女神がほほ笑むのはどっちだ。

 6日の記者会見で小池氏は“酒断ち”をこう明言した。

「(散髪したばかりなので)これ以上髪を切ると坊主になってしまう。何か断つものはないかと探して、年末年始でお酒のシーンの多いときだったので、お酒を断つことに意味があるかなと。都議選の勝利目指して断酒を続けます」

 小池氏は民主党が政権を取った2009年、自民党が政権を奪還するまで髪を切らないと決めたこともある。「臥薪嘗胆ヘア」と名づけ、12年に政権奪還するまで伸ばしっ放しにしていたことがあった。

 ここまで気合が入っている小池氏は、都議会で多数派を形成するため候補者選考を進めている。7日には小池塾の塾生の中から立候補希望者を選抜するための筆記試験を行う。都議会においても公明党や民進党が小池氏に接近。さらに昨年末には、都議会自民党から3人の都議が会派を離脱し「新風自民党」を旗揚げし、小池氏との連携を模索している。

 記者会見で小池氏は、候補者の絞り込みの基準は「ひと言で言って勝てる人」と発言。擁立の規模については「改革派がマジョリティー(多数派)を占めるために、流動的な政治力学を考えながら判断する」と話すにとどめたが、関係者によると30~40人規模を目指すという。既存政党との協力は「選挙の時だけでなく、東京大改革を進める仲間であることが確認できるか」がポイントになると指摘した。

 一方の都議会自民党は孤立していくばかりだ。さすがのドン・内田氏も気落ちしているのではないかといわれている。

 だが、都議会関係者は「それが逆で、内田氏は元気いっぱいです。舛添都政のときは元気がなく、このまま次は出馬せずに引退という感じでした。しかし、内田氏は敵がいると燃えるタイプで、小池氏が就任して以来、気力がみなぎっているのです。引退どころか次も出そうな雰囲気です」と明かした。

 小池氏への対抗心でやる気マンマンになっているのだという。
「内田氏はあまりお酒を飲みません。その代わり甘いものが大好きなんです。小池氏の酒断ちに対抗するために、都議選までは甘いものを断つなんてことも今ならしかねません」(前出の都議会関係者)。願掛けには願掛けで対抗ということだ。

 内田氏のご機嫌の理由はほかにもある。小池氏は都議選に40人規模の候補者を立てるといわれている。しかし、期待するような人材が集まっていないという。

 都政関係者は「小池氏の人気を当てにしようという下心を持った人間ばかりが集まっている。『新風自民党』の3人は、そもそも自民党内での評判がよくなかった。自民党もショックというよりあきれている。タマが悪すぎて追随する動きも鈍い」と明かした。

 前回の都議選で自民党には風が吹いたため出馬した全員が当選した。

「風で当選した3人は風がなくなることが不安なのでしょう。風目当てなのは民進党も同じです。民進党の人間で小池塾に参加している人もいますが、パッとしない。今のところいい人材は集まってきてませんね」(前出の都政関係者)

 小池氏は民進党について「選挙のときだけ力を貸し合うでは困る」と風頼みの下心を見透かしている。小池氏の人を見る目が悪ければ、改革は頓挫しかねないが、さてどうなるか。