日ロ首脳会談のために来日したプーチン大統領(64)は滞在26時間の強行スケジュールを終えて午後7時ごろ、特別機で羽田空港から帰国の途に就いた。安倍晋三首相(62)とプーチン氏は会談後の会見で、北方領土での共同経済活動を「平和条約締結に向けた重要な一歩」とした。来日前には2島返還ムードも漂っていたが、残念ながらゼロ回答。しかし、専門家によると、その裏には日米ロ密約のカジノ構想が存在するという。また、まったく衰えない肉体の秘密にも迫った。

 安倍首相は16日午後、プーチン氏と首相公邸で共同記者会見し、北方四島での「共同経済活動」実現に向けた協議開始で合意したと発表した。活動は双方の立場を害さないもので、平和条約締結へ重要な一歩になるとの認識で一致したが、4島の帰属問題で進展がなかった。首相は活動実施のため「特別な制度」の交渉開始で合意したと説明。

 プーチン氏は日本滞在の最後に親交の深い全日本柔道連盟の山下泰裕副会長(59)を東京・後楽園の講道館に表敬訪問。柔道愛好家で知られるプーチン氏だが、山下氏も「本当に(柔道が)好きですよね。柔道の哲学をよく理解されている」と舌を巻いた。

 北方領土をダシに経済協力だけ取り付け、好きな柔道を堪能したプーチン氏。自民党の二階俊博幹事長(77)は16日、北方領土の帰属を巡る問題に進展がなかったことに関し「国民の大半ががっかりしていると、われわれも心に刻む必要がある」と表明せざるを得なかった。

 狡猾なプーチン氏について、元警視庁公安部出身で旧KGBなど独自のネットワークでロシア事情に詳しい北芝健氏はこう語る。

「レニングラード大法学部出身のキレ者で、力も強い。プーチンの父親も工場労働者とされているが、実は海軍情報機関の工作員だった。プーチンはKGBの情報工作員として駐在した東ドイツで東西冷戦終結に陰ながら尽力。ソ連が崩壊するとFSB(ロシア連邦保安庁)長官に就任し、エリツィン大統領に見いだされ首相に就任。財閥を築き、財力・政治力をほしいままにした。ロシア国内では、怖くて強いので、神様のように崇拝されていて、プーチンのためなら死ねる人間が何百人といる」

 そんなプーチン氏には世界最大の護衛が付いているという。

「シベリアンタイガー狩りするだけで200人も引き連れて行った。護衛はいずれもKGBや特殊部隊スペツナズの出身者で柔道、サンボ、殺し業のある沖縄カラテの有段者です」(北芝氏)

 その誰よりもプーチン氏は強いとされる。歩くとき、右手をほとんど振らず、ときには右手をズボンのポケットに入れたまま、左手を大きく振っている。これはすぐに拳銃を取り出し、撃つためのKGBスタイルなのだ。自分の身は自分で守れるが、公の場で人殺しをしないために護衛に囲まれているのかもしれない。

 実際、プーチン大統領はこれまでに何度も暗殺未遂に遭っている。そのため、そんなに命を狙われていて不死身でない限り生きているはずがないとして、“影武者”が複数いるという説も根強い。

 しかし、北芝氏は「“すでに死んでいる”といった影武者説が5~6年くらい前から特に盛んに言われているが、プーチンがモスクワの病院で幹細胞治療という若返り治療を行っているからなんです。治療のおかげで肉体年齢は今や40代。よほど自信があるのか、よく上半身裸になって馬に乗ったり、釣りしています。昔のたるんだ中年体形と比べて、今の方が若々しいのがおかしいとして、別人説が出ているのでしょう」と説明する。

 北方領土での共同経済活動はどうなるのか。北芝氏は「実はトランプ次期米大統領がプーチン大統領に、北方領土のうち1島にカジノを建設しようと持ち掛けているのです。日本ももちろん承知で、日米ロ3か国でやるのではないかという話もある。ロシアとしても東の果てが経済的に潤うのは悪い話ではない。そのため、北方領土問題は“返す返さない”という話は棚上げしておきたいのです」と指摘した。