安倍晋三首相(62)が歴代首相で在職日数トップとなる2887日を目指し、“地球儀を俯瞰(ふかん)する外交”に力を注いでいる。

 5日、安倍首相は今月26、27日に米国・ハワイでオバマ大統領(55)と日米開戦の発端の場所となった真珠湾を訪れる意向を表明した。

 今年は1941年12月8日(ハワイ時間12月7日)の真珠湾攻撃から75年。現職首相の真珠湾訪問は初めてとなる。

 官邸で安倍首相は「ハワイでの会談はこの4年間を総括し、さらなる同盟の強化の意義を世界に発信する機会としたい」と話した。

 来年1月に退任するオバマ大統領は、今年5月に原爆を投下した米国の大統領として初めて被爆地である広島市を訪問。その後、安倍首相が真珠湾を訪問するプランが浮上していた。

 永田町関係者は「筋論として先制攻撃した日本のトップが先に真珠湾を訪れ、それから米国のトップに広島に来てもらうのがベストだった。順序が逆になり、米国の方が大人で、日本は後付けだとみられてしまう。それでも現職首相で初めてという評価は得られる」と指摘する。

 それにしても、なぜこのタイミングで初の日米首脳によるハワイ会談が実現するのか。

 政府関係者は「オバマ大統領のハワイ滞在が分かり、日米間での交渉が急ピッチで進んだ。首脳会談の狙いは、日米同盟の強固な関係を内外にアピールすること。両首脳の会談は、トランプ新政権が日米同盟の重要さを理解することにつながる」と解説する。

 安倍首相は在職日数が5日、第1次内閣(2006~07年)から通算で1807日となり、戦後4位の中曽根康弘氏(98)を抜き、単独4位となった。来年5月27日まで在職すれば、歴代3位の小泉純一郎氏(74)の1980日に並ぶ。

 自民党関係者は「先月の総務会で、2期6年だった総裁任期を3期9年に延長した。安倍首相は2019年8月に在任期間2798日で戦後1位の佐藤栄作(同2位は吉田茂=2616日)、同年11月まで在職すれば、歴代最長2886日の桂太郎を抜く。党内から新記録を目指すことに異論の声は少ない」と話した。

 野党の体たらくぶりが後押しとなり、安倍首相は在職日数の新記録を更新できるか。