プロレスをなめるな!! 安倍晋三首相(62)の側近である萩生田光一官房副長官(53)が野党の国会対応を「田舎のプロレス」と発言したことで野党のみならず与党、そしてプロレス界から猛反発に遭い、発言の撤回、謝罪に追い込まれた。自民党内からも「ヤンキー気質」と不安視されていた萩生田氏。今回のプロレスと田舎を蔑視したと受け取れる“軽口”は、安倍政権のアキレス腱となりかねない。

 萩生田氏の問題発言が飛び出したのは23日に都内で開かれたシンポジウム。環太平洋連携協定(TPP)承認案の衆院特別委員会の採決に反対した野党を念頭に「あの人たちが本当に声をからして、質問書を破りながら腹の底から怒っているのかといったら、本当に田舎のプロレス。ロープに投げて帰ってきて空手チョップで一回倒れてみたいなやりとりの中でやっている。私はある意味で茶番だと思う。そろそろこういう政治のやり方は変えるべきだ」と発言した。

 これに民進党の山井和則国対委員長(54)は「極めて不適切な発言だ。国会審議に対する侮辱だ。田舎やプロレスに対する蔑視とも受け取れる」と怒り心頭。社民党の吉田忠智党首(60)は「国会を冒とくする発言だ。官房副長官の職責に値せず、更迭を求めたい」と強く非難した。

 野党だけではない。公明党の漆原良夫中央幹事会会長(72)は「非常に不謹慎だ。国会審議に影響を与える」と不信感を募らせれば、プロレスラー出身で初の大臣となった馳浩前文科相(55)も眉をひそめた。

 もちろんプロレスラーもツイッター等で激しく反応した。

「プロレスって、どうして悪い意味に例えられる事が多いのだろうか。『プロレスの様な茶番劇』とか『いじめにプロレス技を使った』とか。明るく楽しく激しく面白いジャンルなのに…」(新日本プロレスの小島聡)

「コイツさ、世の中の全てのことをこうやって見下してるんだろうな」(鈴木みのる)

 永田町関係者は「山井氏が国対委員長に就いてから野党はエキセントリックな対立路線を展開して、それこそ茶番といえる。ただ、それをプロレスに例えるのは不適切でしかないし、プロレスラーやファンに対して失礼極まりありません」と話す。

 萩生田氏の発言がとがめられるのは、これが初めてではない。「2014年に党総裁特別補佐に抜てきされた萩生田氏が安倍首相の代弁者のように振る舞い、『河野談話の骨抜き』に触れ、菅官房長官が火消しに追われれば、与野党の政治資金問題が過熱した際に安倍首相が『撃ち方やめ』と発言したとされたのも、後に萩生田氏自身の発言で“捏造”と騒ぎになった。ただ安倍首相と近いから、誰も突っ込めない。アンタッチャブルな存在になっていった」(同関係者)

 萩生田氏は早実時代に2度停学となった過去を武勇伝として語るなど“バンカラ”気取りは国会議員になっても健在。

「本人は悪気はないのでしょうが、カメラが回っていないところでは議員をアイツ呼ばわりするなど、ヤンキー気質でとにかく口が悪い。よく“誤解を恐れずに言えば~”とぶっちゃけるのですが、その後に続くのは、ほとんどが本当に誤解される内容なんです」(自民党議員秘書)

 昨年10月から官房副長官に就任し、おとなしくなったと思われたが、また悪い癖が出た形だ。

「政務担当の官房副長官は、首相や官邸のスポークスマンの役割がある。萩生田氏はサービス精神旺盛で、メディア側のヨイショにも乗りやすい。今回は撤回で済んだが、政権を揺るがす大失言をしないかが心配になってきます」(政府関係者)

 前出の関係者が指摘するように民進党のやり方も茶番といえば茶番だが、萩生田氏は「国会審議に支障を来すのが本意ではないので、撤回し謝罪したい。深くおわび申し上げたい」と反省の意を示した。とはいえ今回の発言で、多くのプロレスラーやファンを敵に回してしまったようだ。