日弁連が死刑廃止の宣言文採択 実現の落としどころは「終身刑導入」か

2016年10月08日 09時00分

死刑廃止を訴えた亀井氏

 日本弁護士連合会が7日の人権擁護大会で、死刑制度の廃止を目指す宣言文を採択する。司法制度改革が進む中、議論されることがなかった死刑制度にメスが入ることになるのか。

 日弁連はこれまで「死刑廃止の議論を進める」との立場を取っていたが、宣言文では「2020年までの死刑廃止を目指す」と踏み込んだ内容になっている。死刑廃止は世界のすう勢で、アムネスティ日本によれば、昨年末までに死刑廃止国は世界の3分の2以上に及ぶ。先進国で存続しているのは、米国の一部の州など少数で、国際会議などで日本は「野蛮な国」ともやゆされていた。

 日弁連の宣言文で、死刑廃止論が脚光を浴び、息を吹き返したのが「死刑廃止を推進する議員連盟」だ。長年、会長を務める亀井静香衆院議員(79)は6日、日本外国特派員協会で会見し「(日弁連の)廃止への明確な宣言は、死刑廃止の大きな流れを作ることを確信している」と目を細めた。

 日本では被害者遺族の感情等を考慮し、死刑容認が8割を超え、廃止議論が本格的に進むことはなかった。「唯一、民主党に政権交代した際、1年間にわたって、死刑執行が行われずに廃止の機運が高まるかに見えたが、死刑廃止議連のメンバーでもあった千葉景子法相が死刑執行にサインし議連のメンツは丸潰れ。議連のメンバーも激減していた」(永田町関係者)

 一方この間、冤罪防止のために取り調べの可視化が導入されるなど司法制度改革も進んできたが、亀井氏は「目撃者を含め第三者の参考人は取調官に簡単に迎合し、協力する傾向がある。これは可視化制度が取り入れられても変わらない面が多々ある」と冤罪はなくならないと指摘する。

 ただ、日本で死刑廃止を実現させようとするにはハードルが高いことも日弁連や議連は了承しており、落としどころで導入したいのが重無期刑だ。現行の無期懲役刑は十数年で仮釈放の可能性があるのに対し、重無期刑は一切の仮釈放を認めない終身刑で、被害者遺族の感情にも配慮できるとみている。

「重無期刑なら法務省も柔軟に検討してもいいんじゃないかという姿勢になっている」(亀井氏)

 期待通りに議論は始まるか――。