すっかり公の場から姿を消した前東京都知事の舛添要一氏(67)に、“別の意味”で注目が集まっている。今、世間を騒がせている豊洲新市場の盛り土が空洞になっている問題などについて「どこまで認識していて、今後説明責任を果たすのか」というもの。

 昨年7月、舛添氏は定例会見で「私は何度も(豊洲市場を)視察している。新しい安全な設備にした方が良いので、それはもう完璧に今やっています」と自信タップリに話し、今年11月の豊洲移転を推進した。だがその後、セコすぎる政治とカネをめぐる一連の公私混同疑惑で、今年6月に都知事を途中辞職したのは記憶に新しい。現在は都内の自宅で謹慎生活を送っていると伝えられている。

 一方、豊洲市場問題の全容解明を目指す小池百合子都知事(64)は、舛添氏に知事在職中の状況などについて説明を求める方向で調整を進めている。

 都政関係者は「豊洲市場の土壌汚染対策には、都民の税金858億円が使われた。小池知事は舛添氏が当時、都担当者からどんな説明を受けていたのかなどの状況を聞き取る準備をしている。舛添氏は、都知事として豊洲を視察したうえで都民に安全宣言をした。説明が求められている」と話した。

 豊洲市場盛り土問題について、移転が決まった2001年に都知事だった石原慎太郎氏(83)は文書で謝罪。石原都政を引き継いだ猪瀬直樹氏(69)は正式にコメントを発表していないが、ツイッターやテレビ番組に出演して豊洲移転の舞台裏を明かしている。

 舛添氏はいまだに豊洲市場の移転問題について語る姿勢を一切示していない。「出てきて説明しろ!」「実は知ってたんじゃないのか!?」といった怒りの声が噴出するのも当然だ。舛添氏を知る自民党関係者はこう振り返る。

「舛添さんは都知事に就任して最初の半年、都政改革に着手する気満々だった。その後は“都議会のドン”内田茂氏の軍門に下った感じ。舛添さんが都知事を辞めていなかったら、豊洲問題が闇に葬られていたかも…と考えると恐ろしいです。舛添さん自身の都政が問われている」

 本紙は22日、舛添氏の側近秘書に取材を申し込んだが、なしのつぶてだった。