築地市場の移転先である豊洲市場に“盛り土問題”が浮上してから、誰が隠していたのかと犯人捜しが行われている。

 石原慎太郎元東京都知事(83)は「報告を受けていない」。2009年7月から11年7月の間、市場長だった岡田至氏は「(問題発覚まで)盛り土がされていないとは認識していなかった」と話している。21日にリオから帰国する小池百合子都知事(64)がどのように調査を進めるかに注目が集まっているが、行く末をめぐりすでに情報戦が始まっている。

 そもそも盛り土問題は共産党都議団がつかんだこと。小池氏が共産党の動きを察知して、先に会見して公表していた。共産党事情に詳しい永田町関係者は「都知事選で鳥越俊太郎氏を応援した共産党ですが、小池都知事になってイケイケムードです。移転延期になり、小池氏に便乗して党勢拡大を狙っている。これからもいろいろと小池氏に対して要求を出していくでしょう」と話した。

 移転延期という点では小池氏も共産党も方向性は一致。ところが、共産党は延期だけでなく、移転中止の検討も視野に入れている。小池氏も同じ考えなのか。

「よく築地市場の老朽化と言われますが、これは本当にひどいんです。一時期は漏電によるボヤも多かった。大きな地震にも建物は耐えられそうもない。小池氏も移転の必要性は分かっているはずです」と自民党関係者は言い、だから「中止までは考えていない」(同)とも。

 昼のワイドショーで特集されるなど豊洲問題が盛り上がっており、共産党としてはアピールの好機でもある。いずれ小池氏と共産党の間で延期か中止かで方向性の違いが生まれる。新たなスキャンダルが出れば、世論は中止に傾きかねない。

 前出の関係者は「共産党はほかにもネタを握っているという話もあります。共産党にとって一番いいタイミングで出してくるでしょう」と明かした。共産党の情報網は侮れないものがある。28日からは東京都議会が始まる。情報を制御できた勢力が主導権を握ることになる。まだまだ混乱は続くことになりそうだ。