民進党の新代表に蓮舫氏(48)が就任し、元首相の野田佳彦氏(59)を幹事長に据えるサプライズ人事で“蓮舫改革”への意気込みを見せたが、党内からは冷ややかな目で見られている。民進党支持者の“東高西低”化も加速しかねない。

 新体制の船出を左右する人事で党内にはブーイングが起きている。野党転落した時の首相だった野田氏の幹事長起用に加え、無名の大串博志氏(51)を政調会長に抜てき。また細野豪志元環境相(45)、国対委員長だった安住淳元財務相(54)を代表代行に起用した。

「野田氏は蓮舫氏の師匠。大串氏は野田政権の首相補佐官で、代表選では蓮舫氏の推薦人となって、選対を切り盛りした。また、細野、安住氏も相手陣営の切り崩しなど裏仕事で暗躍した。論功行賞、極まったという印象です」(永田町関係者)

 一方で、代表選を争った前原誠司元外相(54)が常任顧問を打診されながらも固辞し、ほかにも党執行部の人事案を拒否する者が相次いだ。特に敵対意識をムキ出しにしているのは旧小沢グループの面々だ。代表選では前原氏、玉木雄一郎国対副委員長(47)の支援に回ったが、敗北。現時点で新執行部の要職に旧小沢グループの議員は入っていない。

「旧小沢グループは野田政権時に除籍されていたとあって、野田氏には恨み骨髄です」(党関係者)。今回の代表選を足がかりに復党や次期衆院選での統一団体化も視野に入れていた小沢一郎・元民主党代表(74)は「(人事が)ごたごたしているのはなぜか。皆さんが考えれば分かるじゃないか」と野田氏の起用が“がん”だと皮肉った。

 共同通信が18、19日に行った世論調査で民進党の政党支持率は9・9%と前回8月の調査と比べて1・0ポイント下がった。前出の永田町関係者は「蓮舫氏は知名度こそ全国区だが、いかにも“東京の人”という印象なのか地方や西日本ではあまり受けが良くない側面もある。今回の人事も東日本を重点にしたシフトで、再興を期さないといけない西日本の軽視ともなりかねない」と指摘する。党政回復への道のりは険しそうだ。