若狭氏の野心と小池都知事の誤算

2016年09月08日 07時00分

小池氏(右)を支援した若狭氏

 都知事選で自民党を除名覚悟で小池百合子氏(64)を応援して、男を上げた元東京地検特捜部副部長の若狭勝衆院議員(59)が6日、小池氏の失職で行われる東京10区の補選(10月11日告示、23日投開票)に出馬する意向を表明した。副知事候補から一転、地盤欲しさをむき出しにした若狭氏には、党内から「案の定」との声が上がり、小池氏も思わぬ批判の渦に巻き込まれかねない。

 若狭氏はこの日、自民党本部で二階俊博幹事長(77)、下村博文幹事長代行(62)と補選への対応を巡って会談した。都知事選で小池氏を応援していた若狭氏は処分対象だったが、二階氏からの厳重注意にとどまり、「今後は党勢拡大に努力する」との反省文ならぬ誓約書を提出。公募で決まる10区補選への応募も認められ、事実上公認される見通しとなった。

 永田町関係者は「東京10区補選は小池氏が後継指名した候補が有利な情勢です。二階氏は既に小池氏と手打ちしており、若狭氏の公認で世論の批判をかわし、分裂選挙も避けられる。(設立が噂される)小池新党にもクサビを打ち込む現実的な判断をしたということでしょう」と話す。

 若狭氏といえば都知事選で「党を除名されても構わない」とタンカを切って小池氏を支援し、都政改革を訴えた。副知事のポストに色気を見せて、衆院議員には未練はないと思われていたハズだが?

 自民党関係者は「副知事人事は都議会の承認が必要で、小池氏が自公にケンカを売った中で承認される保証がない。都知事選前から分かりきったことで、若狭氏はハナから10区狙いだったということですよ」とあきれる。

 若狭氏は現職の衆院議員なのに、なぜ10区補選に出馬する必要があるのか?

「東京都、国のために何ができるかいろいろ考えたうえで、与党側の国会議員、衆院議員で仕事を続けることが都民をはじめ国民、国のために尽くせる」と若狭氏は話したが、本心は別だ。

 同じバッジをつけていても議員には“格差心情”が働いているという。

「若狭氏は2年前の衆院選で比例東京ブロックから単独出馬し、当選したが、選挙区を持たない“根なし議員”。次の選挙では当選する保証はないうえに、比例単独の議員は小選挙区を勝ち上がっていないために党内で相手にされない。プライドの高い若狭氏にとってはようやく議員になったのに忸怩(じくじ)たる思いがあったのでしょう」(前出の関係者)

 小池氏は若狭氏の出馬意向に「10区で信頼できる政治を、私の後を受けて続けてくださる方だと思っている」と期待を寄せたが、“側近”の決断で小池氏への陰口も叩かれている。

「若狭氏が無職覚悟で副知事転身を狙うならまだしも結局、党幹部に頭を下げ、10区からの出馬となればエゴでしかない。佐藤ゆかり衆院議員が地盤欲しさにあちこち渡り歩き『節操がない』と批判されたが、若狭氏も党内では総スカン状態です。小池氏はもともと側近に恵まれないタイプですが、若狭氏を信頼したのも『見る目がない』とやゆされていますよ」(同)

 この日は都知事選の敗戦で自民党都連会長を辞任した石原伸晃経済再生相(59)の後任に下村氏が選出された。

「下村氏は都連の会長代行で引責辞任した“5人組”の一人。その下村氏が会長就任で、相変わらず内田茂前幹事長が影響力を持つということです。若狭氏は今後も小池氏の威光をかさに着ていくようですが、都連側は党内に残った以上、徹底的にイビっていくようです」(都連関係者)

 念願の城は手に入れそうな若狭氏だが、“都議会のボス”からのシゴキに耐えられるのだろうか。