大物国会議員の元秘書がなぜ? 今年5月に島根県出雲市で100歳の老人宅が襲われた強盗致傷事件が、今になって永田町で波紋を呼んでいる。強盗致傷容疑で逮捕、起訴された京都市の無職、上倉崇敬被告(41)は長年、大物国会議員の秘書を務め、地元の京都では知られた顔だったからだ。参院選公示(6月22日)直前の逮捕劇で、大きく報じられることはなかったゲス事件の中身と上倉被告の素性とは――。
事件は5月13日午後1時半過ぎに起きた。出雲市内の男性宅に上倉被告は知人の男(47)と宅配業者を装って押し入るや、応対した100歳の男性に液体のようなものをふりかけたうえに殴り、結束バンドで拘束。室内を物色し、逃走していたが、防犯カメラの映像解析から2人が浮上。6月20日に強盗致傷と住居侵入容疑で逮捕された。
「男性は明確なヤケドこそなかったものの、目や顔にケガを負った」(捜査関係者)
上倉被告の京都市内の自宅からは、液体入りの容器や事件現場で発見された粘着テープ、結束バンドなどが押収された。
さらにその後の捜査で上倉被告は4月にも同宅に侵入し、倉庫をバールでこじ開けようとした窃盗未遂の罪、3月には鳥取県米子市内で軽乗用車のナンバープレートを盗んだ窃盗の罪で先月、追起訴されるなど余罪がボロボロと出てきたのだ。
上倉被告を知る政界関係者はこう話す。
「大学卒業後、京都選出の自民党の二之湯智参院議員(71)の秘書を務めていました。その後、自民党大物議員の事務所を経て、1年ほど前までは佐藤ゆかり衆院議員(54)の秘書を務めていた。佐藤氏が参院から衆院の大阪選挙区に鞍替えした際も関西圏で顔が広い上倉氏は重宝され、本人も国会議員秘書と大物然で振る舞っていた」
交流があった永田町関係者は「(上倉被告は)身長180センチ近くのラグビー選手のようなガッチリ体格で、俳優の加藤雅也似。秘書歴は10年以上あり、人当たりも良かっただけに、こんな事件を起こすとは信じられない」と驚くばかりだ。
逮捕時の上倉被告は無職だった。昨年4月に大阪・枚方市議選で上倉被告が応援に入った元市議が敗北した責任を取って、佐藤氏の事務所を辞職していたという。その後、国会議員の秘書には就いていなかったとみられる。
ただ、上倉被告の地元・京都では、今回の事件が起きる前から不穏な話が飛び交っていた。
「ホステスや芸者、舞妓を毎晩のように連れ歩いて、シャンパンあけてのドンチャン騒ぎをしていた。連日連夜の豪遊ぶりで、過去にはいろいろとウワサがあった人なので『どこにカネがあるんだ?』『大物がバックについているんじゃないか』『国会議員の秘書はそんなに儲かるの?』と怪しむ声が出ていた」(地元関係者)
ナゾなのは今回の犯行は議員秘書を辞め、カネに困っての犯行にも映るが、散財ぶりはこの1年も見られたという。
「(上倉被告が)木屋町のクラブやギ園、宮川町での遊びっぷりが話題になったのは今に始まったことではなく、数年前からで、この1年も羽振りは良かった。警察がカネの流れを追っているとの話もありました」(前出の関係者)
京都の政界関係者は「上倉被告の弟は現職の地方議員で、強盗致傷事件のインパクトがあまりに大きく、地元の関係者の間ではかん口令が敷かれている」と話す。
上倉被告がかつて仕えた二之湯議員は7月の参院選で再選されたが、3月に市民団体「政治資金オンブズマン」から過去に使途不明金があるとして、刑事告発されている。上倉被告は裁判員裁判にかけられる見通しで、周辺は騒がしくなっている。
100歳の老人宅の強盗犯 元大物議員秘書だった
コメント