まずは“舛添都政”の完全撲滅――。小池百合子東京都知事(64)が8日午前、就任あいさつのため公明党本部を訪れ、山口那津男代表(64)と会談し、2020年東京五輪・パラリンピックの成功に向けて連携していくことを確認した。都議会との関係について、山口氏が「安定の要は都議会公明党だ」と指摘すると、小池知事は「協力してほしい」と応じた。いよいよ本格的な都政運営が始まるが、“都議会の闇”は深い。側近となる副知事ポストを巡る暗闘、舛添都政との決別と「東京大改革」を掲げる小池氏の前に問題は山積しているが…。

 自民党の東京都連は都知事選敗北の責任を取り、石原伸晃会長(59)、内田茂幹事長(77)以下、執行部が5日に辞任。小池氏が“ブラックボックス”とやゆしていた東京都連の執行部が総辞職したが、都連がすぐさま透明化するわけがない。

「もともと内田氏は来年の都議選には出馬せず、娘婿の区議会議員に禅譲するといわれていました。とはいっても、本人が引退するワケではなく、次の都連執行部にも影響力のある院政が敷かれるでしょう。今月には本人の政治資金パーティーも開催される予定で、“内田詣で”はなくなりません」(都政関係者)

「都議会のドン」と言われる内田氏と深く連動するのが、東京五輪組織委員会だ。小池氏は膨らむばかりの東京五輪予算の切り込みを明言するや、森喜朗会長(79)は「よく勉強してほしい」とクギを刺した。

「五輪組織委員会には、内田氏の最側近である川井重勇都議会議長、前議長の高島直樹都議が役員で送り込まれ、森会長以下、五輪利権をむさぼっているともいえる。小池氏が立ち上げる五輪調査チームが行き着くところは、森会長らの組織委からの追放。そうしない限り、解決できない」(同関係者)

 その小池氏と森氏が9日に初会談。小池氏が改革を進めるために欠かせないのが側近固めだ。

 特別秘書に元都議でアントニオ猪木参院議員(73)の秘書も務めた野田数氏(42)を起用したのみで、都議会にニラミを利かせるまでにはいかない。

 選挙戦で常に小池氏に寄り添ってきた若狭勝衆院議員(59)の副知事起用案もペンディングだ。

「若狭氏の東京地検特捜部時代の人脈で内田氏が政治資金について追及され、逮捕まで進展する期待もあった」(永田町関係者)。そんな含みもある副知事人事は議会の承認が必要。否決される可能性があり、小池氏も「プロ中のプロなのでお願いしたいところだが、彼は今も衆議院議員なので…」と“無職”にさせるワケにもいかずに勝負に出るタイミングが難しい。

 また、ここにきて、内田氏追及でメディアに引っ張りダコの猪瀬直樹元都知事(69)の副知事や特別秘書での起用が取りざたされ始めた。

「実は猪瀬氏からの売り込みで、どの肩書でもいいから都政の舞台に戻してもらいたいようです」(小池氏関係者)

 猪瀬氏を味方につければ、都議会の闇もあぶり出せそうだが、本人は徳洲会からの5000万円受け取り問題で、公選法違反の略式起訴となり、公民権停止の身。小池氏は猪瀬氏を起用できるハズもなく、側近の人材難は否めない状況だ。

 一方で、小池氏がすぐに結果を出せるのが舛添都政の完全脱却だ。

 5日行った定例会見では舛添要一前知事(67)の“大名視察”を鼻で笑い「ファーストクラスやスイートルームは使わない方針。リオへの随行は私を含めて5人で1000万円」との試算を出した。狙いはズバリ、都民の税金を湯水のごとく浪費した、犯罪行為に近い舛添都政の“撲滅”だ。

 同時に、舛添時代に持ち上がった都有地の韓国人学校建設への貸し出しを公約通り白紙にすると明言。

 都政事情通は「それと会見の開始時間を元に戻すべき」と指摘する。実は石原、猪瀬都知事時代は定例会見は毎週金曜の午後3時からだった。

「午後2時に変更したのは舛添氏。湯河原の別荘へ行くのに時間が遅いと渋滞するので、1時間早めたんです」(同)

 会見を主催する都庁記者クラブは「小池氏から要望があれば時間を戻すことも考えたい」と話す。

 とにかく変化を見せればポイントは稼げるだけにまずは舛添都政との決別で足場を固めつつ、本丸へ切り込めるかが注目だ。