新都知事・小池劇場 まずは「対“都議会のドン”」

2016年08月01日 17時00分

小池氏(右)と都民のために若狭氏が一肌脱ぐか

 小池劇場の開幕だ。31日に投開票された東京都知事選で小池百合子元防衛相(64)が午後8時ちょうどの瞬殺で当選を確実にした。女性初の都知事となる。小池氏は自民党東京都連をブラックボックスと批判。“都議会のドン”こと内田茂都連幹事長(77)との対決姿勢を鮮明にしていた。これからの小池都政がうまくいくかは対ドン戦略によるところが大きい。そこで浮上しているのが、若狭勝衆院議員(59)の刺客計画だ。

 午後8時ちょうど、投票が締め切られた直後に小池氏当確の速報が流れると、事務所は歓声に包まれた。事務所の入る池袋駅近くの雑居ビル一室は約150人の報道陣と支援者がすし詰め状態に。ムンムンとした熱気の中、小池氏は「心から感謝を申し上げます。ありがとうございました」と支援者に感謝した。「みんなが輝ける東京へ。これまで見たことがない都政を皆様とともにつくっていきたい」と抱負を述べた。報道陣からのリクエストもあり万歳三唱は計5回。15回もの万歳の声が響いた。

 しかし、当選に浮かれている余裕があるわけではない。小池氏は都連の意思決定はブラックボックスと批判。名指しこそしなかったが、内田氏との対決姿勢を鮮明にした。これに対して、都連は増田寛也元総務相(64)を擁立し、自民党は分裂選挙に。さらに、都連は小池氏を応援した場合は親族による応援も含めて除名処分の対象になると、国会議員や地方議員に文書を配布していた。

 選対関係者は「選挙の流れが変わるきっかけは、この文書だったと思う。『これはひどいね』という声を多く聞いた。選挙戦で文書を取り上げていたのは、別に利用したわけじゃない。事実を言ったまで」と指摘した。

 選挙は小池氏が圧勝だったとはいえ、都連とのシコリは残ったまま。これからの都政において多くの都議を擁する都連との関係がネックになる。言い換えれば内田氏との対決はこれからが本番だ。

 永田町関係者は「だからこそ同志を集めた小池新党が作られるのではないかとささやかれています。小池氏の考えに賛同する現職都議を含め、来年の都議選では小池氏シンパを出馬させるとみられています」と明かした。自民党都連関係者も「来年の都議会選挙に向けて『この指とまれ』でミニ会派や新人候補者を集めて“小池新党”を立ち上げるという話を聞く」と語る。

 小池氏は31日、新党構想を問われて、「計画は現時点でない」と言いつつも、「党派を超えて改革を志す人がいると、選挙戦を通じて痛感した」と仲間の存在をほのめかした。

 来年の都議選を見据え、一部で浮上しているのが若狭氏の刺客案だ。若狭氏は選挙戦中ずっと小池氏を応援し続けた。その若狭氏が内田氏の地盤である千代田区から小池新党の刺客として出たら…。2005年の郵政選挙では小池氏も刺客として衆院東京10区にやって来た。小泉劇場ならぬ小池劇場で旋風を巻き起こすことは間違いない。

 若狭氏本人を直撃すると、「そうなると面白いですよね」と前向きな反応。「衆院議員が都議会議員選挙に出るというのは、それだけでインパクトがある。選択肢としてはある。ただ、まだ白紙ですね」

 若狭氏は刺客案だけでなく、さまざまな作戦を検討している。小池新党については「今の時点では未定。いろんな形で都民のために何をすればいいか考えています」。補選が行われる東京10区での出馬については、「選択肢の一つとしてはある」。副知事就任も、「選択肢の一つです」。若狭氏の決断が小池都政を占うことになるかもしれない。

 一方、敗者の自民党都連は、小池氏へのリベンジを誓い、早くも動き始めた。

「小池さんは同党都連にいったん推薦を依頼していた。だが、取り下げて立候補した行為は、間違いなく反党的な行為に値する。除名は党の党紀委員会で決まるが、除名処分の方向で調整されている」(同)

 第3回都議会定例会は9月28日に開会して本会議を開く。同都連は10月4日からの代表質問や一般質問で、小池都政の方針を厳しく問いただす方針だ。

「9月の都議会は、小池都政と全面対決になりますよ。小池さんは(最大会派の都連と)仲良くできなければ、都政を運営できない」(同)

 都政の混乱はまだまだ続く雲行きだ。