【都知事選】警察が出動した渋谷決戦の舞台裏

2016年07月30日 16時30分

街頭演説を行った鳥越氏

 東京都知事選(31日投開票)まであと2日と迫った29日、渋谷のスクランブル交差点で小池百合子元防衛相(64)、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)、山口敏夫元労相(75)、ジャーナリストの上杉隆氏(48)、マック赤坂氏(67)の5候補が集結。怒号と罵声が飛び交い、警察が出動する大騒動となった。本紙しか書けない思惑乱れた各陣営の“渋谷決戦”の舞台裏をリポート――。

 若者カルチャー発信の地・渋谷は各陣営にとっても若者や無党派層を呼び込む最重要地点だ。特に選挙権が18歳以上に引き下げられたことで、終盤戦でこぞって各陣営が押し寄せている。

 一触即発の雰囲気が漂ったのは午後1時前だった。交差点を挟んで、2台の街宣車が横付けされた。1台は山口氏と上杉氏のノボリが立てられた。この日、2人は五輪キャラバンと称し、合同で五輪各施設を遊説しながら、五輪組織委員会の森喜朗会長(79)の退陣を迫った。渋谷での演説会はその報告だったが、同時刻に小池氏も予定しており、完全にバッティングしてしまったのだ。

 さらに選挙期間外も渋谷の街頭に立ち、若者の間では忠犬ハチ公に負けない認知度を誇るマック赤坂氏も同所に現れたものだからパニック寸前だ。「どうなっているんだ」。小池陣営は山口陣営に問い合わせるが、責任者不在で要領を得ない。 

 既に周辺に集まっていた小池氏の支援者はやきもきするばかりだったが、そこに山口氏が登場。すると小池陣営に応援弁士で駆けつけた自民党の笹川堯元総務会長(80)を見つけるや、旧知の二人は「人類みな兄弟」とばかりに一転、意気投合だ。

「敬愛する笹川先輩が年長の功で譲ってくれた。“薄化粧”の小池百合子さんが登場するまでひと言ごあいさつさせていただきたい」と山口氏が、石原慎太郎元都知事(83)の小池氏に対する“厚化粧”との暴言を逆手に取ったフォローを入れると小池氏支援者も大拍手。上杉氏も「小池さんの前座を務めます」とすっかり“小池連合”が出来上がった。

 真打ちの小池氏も「みんなから小池さん、ジャンヌ・ダルクになってくださいといわれる。ただあれは最後、火あぶりになる。私はそれでも構わない覚悟なんです」と盛り上げるや、演説後の街宣車は撮影会状態。マック赤坂氏からも「当選したら副知事にして」と求愛された。

 その後に到着したのは鳥越陣営だ。交差点には突如、中高年の集団が押し寄せ、記者も支援者からイメージカラーの青の布や「女性によし」と大きく書かれたA3大のビラを手渡され、手慣れた動員作業の現場に出くわした。

 鳥越氏は週刊誌報道の“淫行疑惑”で多くの女性の支持が離れたとみられ、この日は挽回のためか「女性デー」と題し、作家や議員ら10人以上の女性応援弁士が街宣車に登場。応援弁士の面々は「女性だったら誰でも都知事でいいというわけでない」「厚化粧はいいが、都知事のイスは渡したくない」と小池氏批判のオンパレードで気勢を上げたが、陣営の顔色が一瞬にして曇る状況に陥った。

 週刊誌報道をやゆした「元バージンは病みあがり?」「バージンは病気なの?」と書かれたプラカードを持った男性が現れたのだ。男性と鳥越氏の支援者との間で怒号が飛び交う中、つかみ合いのケンカになってしまい、警察が介入する騒動にまでなった。

 気を取り直したい鳥越陣営は夕方にも再びハチ公前にステージを設営した。音楽とコラボする選挙フェス風で、若者を呼び込む作戦だったが、聴衆の7割方は熱心な鳥越氏支持者の中高年で埋め尽くされた。

 歌手の加藤登紀子(72)が登場した時がクライマックスで、鳥越氏が持ち歌という宮崎県の民謡「刈干切唄」を披露する予想外の展開。しかし、滞留していた若者の多くは「ポケモンGO」に熱中するばかりで、通りの路上から鳥越氏にスマイルを送っていたのは、またもやマック赤坂氏だった。