東京都知事選(31日投開票)が、終盤で仁義なき戦いに突入した。

 28日、小池百合子元防衛相(64)が葛飾区のJR金町駅前で行った街頭演説で、5年前に自殺した樺山卓司都議(享年63)の京子夫人(66)がマイクを握り「主人の無念を晴らしてもらいたい」と都議会のドンといわれる自民党都連幹事長の内田茂氏(77)を名指しで糾弾したのだ。

「内田幹事長は私利私欲のために自分の配下をつくり、思い通りに都政を動かしてきた。『これは民主主義でない』と盾ついた樺山を最後は死に追いやったんです。自民党推薦の候補者のバックには内田氏がいる。ずっとこの支配が続いていると都政はどうなるのか?」と京子夫人は訴えた。

 樺山氏は葛飾区選出で、2011年7月に自宅で頭からクリーニング用のビニール袋をかぶって、亡くなっているのを夫人に発見された。当時は謎の死とされたが、1年後に「人間性のひとかけらもない内田茂。来世では必ず報服します。自民党の皆様、旧い自民党を破壊してください(原文ママ)」との遺書が発見され、都議会でのイジメが取りざたされた。

 樺山氏の死後、京子夫人が表舞台に立つのは初めてだ。

「内田氏へ抗議したかったが、術がなかった。何らかの形で、主人の無念を晴らしたいと思っていた。小池さんが手を挙げ、都政の大改革は主人の言っていることと同じだと鳥肌が立った」(京子夫人)

 日本新党出身の樺山氏とは、20年近い付き合いがあったという小池氏は「樺山先生の無念を引き継がせていただきたい。だから東京大改革と掲げた」と呼応した。

 応援演説は小池陣営が要請したもので「都議会のドン」との対決姿勢を鮮明にする中で“ファイナルウエポン”を投入した格好だ。

 陣営関係者は「徹底的にやるしかない。内田氏と全面対決の覚悟はできている」と弔い合戦の様相にもなってきた。

 都連側の石原伸晃都連会長(59)は「小池氏は自民党の人間ではない」と絶縁宣言するなどヒートアップ。全面戦争突入で、小池氏が当選した際には、不信任決議が出され、同氏の言う都議会冒頭解散も現実味を帯びてきた。