【都知事選】小池氏が狙う“内ゲバ”誘発

2016年07月21日 06時30分

小池の乱で各陣営も分裂含みに

 混迷の末に有力候補が出馬したためか「政策議論が深まらない」とも言われる東京都知事選(31日投開票)だが、バトルだけは熱い。小池百合子氏(64)の街頭発言に鳥越俊太郎氏(76)がテレビ生放送番組でかみつくなど、目が離せない状況となっている。増田寛也氏(64)も含めた有力3候補の争いで、風を吹かそうとしているのが小池氏だ。

 防衛相、環境相などを歴任した小池氏がまず名乗りを上げ、岩手県知事や総務相を務めた増田氏が続き、“究極の後だしジャンケン”でジャーナリストの鳥越氏が登場した選挙戦。19日には小池氏の街頭演説に鳥越氏が物言いをつけた。

 野党統一候補で4度のがん手術を受けた鳥越氏を念頭に、小池氏は「勝てるからといって、病み上がりの人を連れてくればいいということではない」と発言。同日昼の情報バラエティー番組「バイキング」(フジテレビ系)での生討論に参加した鳥越氏はこれに「がんサバイバーへの差別、偏見だ」と猛反発して小池氏を問い詰めた。

 当初は「記憶にない」「お元気になられている」などとかわそうとした小池氏も、追及の厳しさに“謝罪”。このバトルに、自民と公明の都政・国政両与党勢力に推される増田氏はかすんでしまった格好だ。

 大手メディアの序盤情勢調査では、先行と伝えられた小池氏。所属する自民党の推薦は受けられなかったが、増田、鳥越両陣営の切り崩しに入っている。

 立候補をめぐって自民党都連に真っ向からケンカを仕掛けた小池氏に対し、都連は所属議員が親族も含め、増田氏以外を応援した場合は除名などの処分を通告していた。ところがここに来て、この通達に反発の声が出始めたというのだ。

「都連の会合で、例の通達について、複数の国会議員から『都連幹部が勝手に決めたことだ』『聞いていない』と公然と石原伸晃都連会長の責任を求める声が出たんです。もはや都連は内ゲバ状態です」(都連関係者)

 この事態に小池氏も追い風を得たりと攻勢をかけた。19日は石原氏の地盤である杉並区内で街頭演説。「猪瀬、舛添と辞めたのに、誰かとは言わないが、都連の幹部は一切責任を取らないじゃないですか」と声を張り上げると、聴衆は即座に応じて「伸晃はクビ!」と盛り上がった。

「各世論調査で自民党支持層の中でも増田氏支持は6~7割前後で、3割前後が小池氏に流れている。今後、勝ち馬に乗りたいとなれば、もっと小池氏に回ることになりそうです」(党関係者)

 一方、鳥越陣営にもクサビを打ち込んでいる。小池氏は鳥越氏の出馬で身をひいた元日弁連会長の宇都宮健児氏(69)を「日本のサンダースだと思っている」と米大統領選の民主党候補選びで草の根運動で支持を集め、ヒラリー・クリントン前国務長官を苦しめたバーニー・サンダース上院議員(74)にたとえて、たびたび持ち上げている。
 野党関係者は「野党4党は一枚岩になっていない。宇都宮氏をサポートしていた共産・社民の一部支持者は、鳥越氏が宇都宮氏の政策を丸のみすると言っていたのに実行しなかったことで、不信感を持っていて、まだ距離を置いている。そこに小池氏の『サンダース』のヨイショで、インテリ層も多い支持者は『ミーハーな鳥越支持者とは違う』とプライドをくすぐられている」と話す。

 加えて、鳥越氏は投開票日を「4月31日」と発言したり、「私は終戦のとき20歳でした」とつじつまの合わない発言をするなど、有権者に抱かせる不安は健康面だけでなくなってきている。「鳥越氏の支持に回ると踏んでいた宇都宮氏の支持者から『棄権』の投票行動を取る人も多く出てきそうです」(同関係者)。小池氏がこのまま増田氏、鳥越氏を突き放すのか――。