東京都知事選が告示されて迎えた3連休、各候補者が街頭演説に力を入れた。野党4党の統一候補となったジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)は18日、歌手の森進一(68)を伴って東京・巣鴨に現れた。“おばあちゃんの原宿”といわれることもあるスポットだけに、圧倒的にホームのはずだったが、高齢者たちからブーイングを浴びるハメに…。

 2人は地蔵通り商店街を練り歩き。有権者に写真を撮られたり、商店の関係者と歓談したりとアピール。演説会場に設定された一角では、炎天下、100人近くの聴衆が待っていた。

 予定時刻を過ぎて、ようやくたどり着いた鳥越氏がマイクを握る。

「今日は私の40年来の友人である森進一さんが駆けつけてくれました。さっそくバトンを渡して話してもらいましょう。みんな森さん知ってるよね。あの森さんだよ。どうして森さんがここにいるのか。よろしくお願いします」と話して、森にマイクを渡してしまった。

 森は「クリーンさで鳥越さんに勝る人はいない。都民として高齢者として心配なことはいっぱいある。そういうことを鳥越さんに託したい」と、きっちり応援。聴衆からの「歌って~」とリクエストされ、「え~りも~。オケがないのですいません」と「襟裳岬」をほんの少しだけ披露した。

 2人合わせて約2分の演説。聴衆の誰もが次は鳥越氏が政策を語ると思っただろう。

 しかし、司会者は「次の日程がありますので」と街頭演説の終了を通告。これに一部の聴衆が激怒。その場に残された関係者に詰め寄った。

 ある年配男性は「森さんは関係ないよ。鳥越本人の政策を聞きたいんだ。待っている人はいっぱいいた。こんなことして支持を得ようなんて駄目。投票するのは今のところ変わらないよ。ほかの人は分からんけど」と鳥越氏に1票を投じる思いに変化はないという。

 ある女性は関係者に散々文句を言った後「投票はしましょうよ。自民党じゃ駄目だから」と残った聴衆に呼びかけ始めた。ようやく決まった野党統一候補だけに、反与党の人たちからすれば鳥越氏以外に選択肢がない。もはや悲壮感すら漂っている。

 陣営関係者は「練り歩きに時間がかかってしまいました」と頭を下げまくり。急きょ、その場で反省会を開いたほどだった。

 一方、鳥越氏は都内の鳥越神社に必勝祈願へ。報道陣から巣鴨の演説が短かったと指摘されると「お年寄りが多いので、あまり長くやると熱中症の心配もある。天候を考えて短くやろうと。詳しくは渋谷で語ります」。

 渋谷では「住んでよし、働いてよし、環境によし」など政策を話していたが、巣鴨ではリベンジ演説が必要だろう。