東京都知事選(14日公示、31日投開票)で6日、小池百合子元防衛相(63)が自民党都連の推薦を待たず、改めて出馬表明した。

 小池氏は2人の大物に狙いを定めている。出馬会見で(1)都議会の冒頭解散、(2)利権追及チームの新設、(3)舛添要一前都知事(67)の問題に関する第三者委員会設置――の公約を掲げた小池氏。これは“都議会のドン”といわれる都議や、犬猿の仲の東京五輪組織委員会会長、森喜朗元首相(78)への“恫喝”だ。小池氏が仕掛けるシナリオが見えてきた。

 小池氏は会見で、自民党東京都連や都議会、そして自民党に巣食う鬼の存在をほのめかした。

「自民党は家族的ですばらしいが、都連は改革が必要。都連はどこで誰が何を決めているのか不透明でブラックボックスでした」と都連批判。さらに「猪瀬(直樹)氏と舛添氏が短期間で辞めたのはなぜか。誰かにとって不都合になったときに捨てられるのではないか」とバッサリ。その“誰か”こそが小池氏の倒すべき鬼になる。

 仮想敵としてまず浮上するのが“都議会のドン”といわれる内田茂都連幹事長(77)だ。永田町関係者は「都政では何事も事前に内田氏を通さないと前に進まない」と明かす。

 小池氏は、不信任案が出ないと解散できないことを承知のうえで「私が都知事にふさわしくないというなら、議会は不信任案を出す。分裂選挙というが、分裂しているのは都議会と都民の間ではないか。都民の声を聞いてみる必要がある」とニヤリ。内田氏ら都議会に対する宣戦布告だ。

 次なる仮想敵は森元首相だ。2人は犬猿の仲といわれる。話は2008年にさかのぼる。福田康夫首相(79)が辞任を表明し、総裁選で小池氏は手を挙げた。これに派閥の長老だった森元首相が「俺は聞いてないぞ!」と激怒し、それ以来、2人の仲は修復されることはなかったという。

 小池氏は公約で東京五輪・パラリンピックを含めた都にはびこる利権構造にメスを入れるとも宣言した。五輪組織委員会会長の森元首相からすれば激怒ものだろう。

「小池氏は離党を否定していますが、除名される可能性もある。むしろ、その方が同情も集まる」(ある自民党関係者)

 血で血を洗う大勝負が始まった。