【都知事選】小池百合子氏「電撃出馬」の深謀

2016年06月30日 16時30分

 参院選の熱戦が繰り広げられる中、舛添要一氏(67)の辞職に伴う東京都知事選(7月14日告示、同31日投開票)の候補者として自民党の小池百合子氏(63)が29日、出馬の決意を表明した。小池氏が党内の了承を取らずに立候補を決めて会見を開いたことに、「想定外の奇襲攻撃だ!」「あんな高飛車な人は推せない!」と大ブーイングの嵐が巻き起こっている。その舞台裏を追うと、人材不足に苦しむ自民党のお家事情が浮かび上がった。

 会見で小池氏は「出馬の決意を固めた。崖から飛び降りる覚悟で挑戦したい」と話した。ただ、党内での調整は済んでいないとし、自民党の東京都連に支援を求める意向も表明。支援を得られない場合については「状況を見極めていきたい」と繰り返し、明言しなかった。

 一方、都連は早ければ週内に候補者を正式に決める方針で準備を進めていた。事実、この日に人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔(34)の父親で前総務事務次官の桜井俊氏(62)に出馬を要請したが、固辞された。桜井氏は午後、共同通信の取材に「そのつもりはない」と断言。自民党からの要請については「ノーコメント」とした。

 つまり、都連は小池氏を候補者にする意向はなかったというわけだ。

 それでも自民党関係者は「小池さんの出馬宣言は絶妙のタイミングだった。告示日から逆算すると、選挙ポスターの発注は今週がギリギリだからです」。そのうえで、こうも続けた。

「最強の候補者は実務型の櫻井パパこと桜井俊さんだった。出れば当選するでしょうが、出てくれない。最後は安倍首相が桜井さんを説得するシナリオが残されているが、どうなるか…」

 まるで奇襲攻撃のように出馬宣言をした小池氏。その舞台裏を永田町関係者はこう解説する。

「舛添氏の辞任後、(首相)官邸は“ポスト舛添”を櫻井パパに決めていた。それでも小池さんは、この日の会見の準備を入念にしていた。官邸の動きを見ながらテレビ出演したりして、安倍首相にも“次の都知事は私だ”としっかり売り込んでいましたから。櫻井パパに対抗心をメラメラと燃やしていたんでしょう」

 小池氏といえば「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京系)でニュースキャスターを務めた後、日本新党に入党し、1992年に参院選比例代表で立候補して当選して政界入り。その後、衆院選に同党公認で出馬し当選。同党解党で新進党、自由党、保守党、自民党と渡り歩いた。こんな目まぐるしい政党遍歴ゆえに“政界渡り鳥”と呼ばれている。

「会見が終わると、小池さんは官邸が応援する神奈川選挙区の三原じゅん子候補の応援に入った。都知事選に立候補することを有権者に印象づける狙いがあるのでしょう。参院選のさなか、自民党も女性議員にダメだ、ダメだと言っていては選挙戦にマイナスです。小池さんは官邸や都連の切り札としての候補者が櫻井パパしかいない事情、そして櫻井パパは出ないであろう状況を判断して自ら出馬に踏み切った。政界渡り鳥と言われるほど、機を見るに敏なんです」(前出の永田町関係者)

 小池氏が党内に断りもなく都知事選挙に出馬表明した裏側には、自民党の人材不足がある。

「安倍首相は参院選前に衆参ダブル選挙を予定した。だが、ダブル選挙に踏み切らなかった理由は1年生、2年生の衆院議員が地元に後援会すら持てないほど政治家として成長していないことを嘆いたからです。猪瀬直樹氏が“政治とカネ”の問題で都知事を辞めて、舛添氏を支援した時と同様、自民党の人材不足は深刻です。最後は安倍首相が桜井さんを説得するといわれていますが、難しいでしょう」と自民党議員は打ち明けた。

 その櫻井パパが自民党のラブコールを固辞している理由の一つは「官邸の意向だけで都政を運営したくないからだといわれています」(永田町の事情通)。

 果たして小池氏は、安倍自民党の公認を得て都知事選挙に立候補できるのか。